非認可/Unacknowledged
ドキュメンタリー映画『非認可』の感想&レビューです。前半はネタバレなし、後半からネタバレありとなっています。

原題:Unacknowledged 
製作国:アメリカ 
製作年:2017年 
日本では劇場未公開:2017年にNetflixで配信 
監督:マイケル・マッツォーラ 

【個人的評価】
 星 2/10 ★★

あらすじ

誰もが一度は考えたことがある疑問。それは「地球外生命体は本当に存在するのか?」。著名なUFO研究家、スティーブン・グリア博士が、目撃情報だけでなく機密文書も公開。政府がひたすら隠匿してきた宇宙人の存在は、もはや隠せることではないと熱く語っていく。

ネタバレなし感想

宇宙人はいます!?

皆さんは、宇宙人は実在すると思いますか?

いや、何を幼稚な質問をしているんだと呆れる人もいるかもしれません。はたまた、う~んと考え込んでしまう人もいるかもしれません。ちなみに、この質問についてはメディアなどでアンケートがとられたことが過去に何度もあるようで調べたのですが、そのたびに「宇宙人はいる」と回答する人の割合は全然違っていて、なぜなんだろう…。皆、本気で答える気がないのか、それとも地域や年齢によってすごいバラつきがあるのか。

この永遠の謎が「永遠の謎」ではなくなるときが来るのでしょうか。それこそ映画メッセージのような事態が起きたらどうなるのだろう。考えれば考えるほど深淵にハマりそうです。

でも、世の中には「宇宙人は実在するし、それどころか地球にもう接触していて、その事実を政府が隠蔽している!」と公然と主張している人がいます。

そんな宇宙人実在隠蔽説の第一人者が“スティーブン・グリア”というアメリカ人。現在62歳の彼は、元医師で今は「UFO研究者」という凄い肩書を掲げる人物。宇宙人に関する情報を共有化することに全身全霊を捧げている人で、「The Disclosure Project」という企画を立ち上げ、2001年にはワシントンD.C.にあるナショナル・プレス・クラブで記者会見が行い、宇宙人に関する情報を公開しました。

その内容は…本作を観ればわかる!

ということで本題の『非認可』というドキュメンタリーに話題を移します。原題は「Unacknowledged」。ずいぶんストレートすぎる直訳ですね…。

この作品は簡単に言ってしまえば、“スティーブン・グリア”の主張が全て詰まっている…そんな作品です。宇宙人目撃の情報から政府の隠蔽の歴史、そしてトンデモナイ存在についてまで、しゃべりまくりです。

人によってかなりテンションに差がありそうですけど、“スティーブン・グリア”は大真面目ですよ。気になる? じゃあ、聴いてやってください。






↓ここからネタバレが含まれます↓





ネタバレあり感想

アツくなる人たち

ドキュメンタリーの内容と直接関係ない話から始めますが、「インターネット・ムービー・データベース(IMDb)」のこのドキュメンタリーの評価を見たら、10点満点中10点をつける絶賛か、1点をつける大不評の2択がほとんどの状態になっていました。しかも、どのレビューも実に長く熱のこもった文章ばかりで。正直、私の感想より断然こちらを読むほうが楽しいです。

そんなレビューのなかで一番好きなのは、低評価のレビュアーの「この作品はルイ・アームストロングの“この素晴らしき世界/What a Wonderful World”を汚した!」という一文。怒りの矛先、そこなんですか…。

あと、あれです。この作品のレビューにさえも陰謀論が生まれていて、具体的には「IMDbで本作をレビューして満点高評価をつけた人の大部分が最近作られたアカウントで、怪しい!」みたいな意見もあって…。ちなみに2017年9月時点で本作の評価総計平均は星10が最大評価のうち「7.2」になってます。

なんていうか、その…この話題の“メンドクササ”がこれだけで表されていますよね…。

このブログも下手なことを書いたら消されるかもしれない。いや、消されたら、これも隠蔽だとして取り上げてくれるかな。

そんなひとり陰謀論ごっこはさておき、でもこの映画レビューの白熱っぷりからもわかるように、この「宇宙人は実在するのか」という議題は本当に人気なんだなということがあらためてわかりました。

背中を押してくれた存在

そもそもこのドキュメンタリーはなぜ製作されたのでしょうか。

というのも、本作でもしゃべりまくっているUFO研究者のスティーブン・グリアの一連の“調査活動”については、2013年に『Sirius』という本作とほぼ同様のドキュメンタリーが製作されて、そこでもまとめられているのです。それどころか、この手の映像作品は割とあります。

元も子もない現実を言ってしまえば、本作はスティーブン・グリアの著作「Unacknowledged: An Expose Of The World's Greatest Secret」とセットで資金調達されており、最初は映像作品のほうは製作の見通しが不透明だったようです。しかし、「The Orchard」という映画配信を手がけるメディア企業(ソニーが親会社)が配給してくれたんですね。そして、VOD(動画配信サービス)で広く公開された…そんな経緯がありました。つまり、Netflixのような動画配信サービスのおかげで、こういうドキュメンタリーが非常に製作しやすくなっているのです。

これは“スティーブン・グリアのような人たち”には非常に有利な環境変化でしょうね。今後もドキュメンタリーは発表しやすくなって、ドンドン尖った主張の強い作品も増えていくのだろうな。

非認可

これはロマンじゃない

で、肝心の内容についてなんですけど…。これはあくまで私の、個人的な意見ですよ(しつこい念押し)。正直、眠くなります…。

本作は、キャリアという肩書のある人物の言葉なら信用してくれると考えたのか、偉い人のコメントをただ並べているだけ。なんというか手詰まり感というか、弾切れな雰囲気を感じます。

別に客観的で検証可能性のある証拠を提示しろとは言いません。ただ、ドキュメンタリーの構成は下手だと言わざるを得ない…。例えば、章の展開のさせ方も滅茶苦茶で。第1章で宇宙人の存在を示す数々の情報を見せて、第2章で政府はそんな“おおごと”を完璧に国民に隠し通せるのかに迫る。ここまではわかる。

問題は第3章ですよ。いきなり「フリーエネルギー」の話題に飛ぶのです。イマイチ理解できていない人のために再度説明しておくと、このフリーエネルギーとは、熱力学の概念として一般に理解されている「フリーエネルギー」ではなく、18世紀末から19世紀の初頭にかけて天才科学者が生み出すも闇に葬られたと一部が主張する夢のような万能エネルギーのことです。第1章・第2章の流れから次に来るべきは、これで良かったのか…。

「いや、そんな小難しいことなんてどうでもいい。ロマンがあれば良いんだよ!」という意見もあるかもですが、おそらくスティーブン・グリアをはじめ本作で宇宙人を語る人たちは、“ロマン”が動機にあるわけではなく、“他人不信”が根っこにあるのだと思います

それが本作で最もよく示されるのは、スティーブン・グリアがエドワード・スノーデンについて言及するシーンでしょう(スノーデンについてはシチズンフォー スノーデンの暴露を参照)。スノーデンといえば、アメリカ政府がひた隠しにしてきた情報監視の実態を暴露した人。同じ秘密を暴く者同士、スティーブン・グリアも彼を称賛するのかなと思ったら、「スノーデンの過ちは合法的な秘密を暴露したことだ」とまさかのダメ出し。なんでそこまで他人を咎めざずにいられないのか…。「宇宙人を信じる俺たち以外はみんなアホだ。世の中の真実が見えていない」と言わんばかりです。

これこそ陰謀論とジャーナリズムの決定的な違いだと思うのですけど…。

このドキュメンタリーを宇宙人が観たら、きっとバカにするに違いないでしょう。宇宙人を信じる以前に同郷の星の者さえ信じることができていないじゃないかと。私は地球人として胸を張れるような“ロマン”で宇宙人を語りたいです。

©Netflix