マグニフィセント・セブン
映画『マグニフィセント・セブン』の感想&レビューです。前半はネタバレなし、後半からネタバレありとなっています。

原題:The Magnificent Seven 
製作国:アメリカ 
製作年:2016年 
日本公開日:2017年1月27日 
監督:アントワン・フークア 

【個人的評価】
 星 5/10 ★★★★★
 

あらすじ

暴虐の限りを尽くす男、バーソロミュー・ボーグに支配されたローズ・クリークの町。その町に住み、夫を殺されたエマ・カレンは偶然出会った賞金稼ぎのサムに助けを求める。そしてサムを中心に、ギャンブラー、スナイパー、戦士、流れ者など7人の男たちが集まる。

7人はちょうどいい

ソフトウェア開発者のローレンス・パトナムという人物は、プロジェクトを進めるうえで最も効率の良いチームのメンバー数を研究していました。その結果、「7人」が優れたチーム人数の最大値であると判明したそうです。

ところで7人のチームが登場する映画といえば、古典的名作『七人の侍』(1954年)です。盗賊行為を行う野武士に苦しめられていた農村を救うため、7人の侍が集結し、農民とともに立ち向かう…明快なストーリー。劇中では7人の侍によるチームは見事な成果を挙げてみせますが、この映画にも登場する7人という数は、科学的にも証明された意味ある数字だったんですね。さすが黒澤明監督…いや、それは考えすぎか…。

そんな『七人の侍』をハリウッドリメイクした『荒野の七人』(1960年)でも舞台が西部開拓時代に変わっても「7人」という数字は変わりません。


そして、『荒野の七人』を再びリメイクした本作『マグニフィセント・セブン』でもそれは受け継がれています。

これってチーム映画としては結構貴重だと思うのです。どれとは言いませんがチーム映画にありがちなこととして、続編とかリメイクがされた場合、往々にして人数がどんどん増えたりします。ボリュームアップをわかりやすく示すにはこれ以上ない正攻法なんですが、だんだん収拾つかなくなって雑になったりも…。私はあんまり好きじゃないです、人数を増やすのは…。

それに対して『七人の侍』系列作品の、元から受け継ぐコンパクトさは安心できます。だからか、『荒野の七人』がリメイクされると聞いても、型がかっちりできあがっているので、まあ変なことにはならないだろうと思ってました。実際、本作『マグニフィセント・セブン』は『七人の侍』や『荒野の七人』のエッセンスをかなり色濃く残した内容になっており、元作品のファンも一定の楽しみは期待できます。

一方で、私の観た印象としては本作は元作品のファンだけでなく、かなり一般層を意識したつくりにもなっている気がしました。というか『七人の侍』や『荒野の七人』を観たことがない人の方が新鮮に楽しめて良いと思います。これが初めての「7人」でもいいんじゃないでしょうか。






↓ここからネタバレが含まれます↓





八方美人な荒野の七人

『荒野の七人』を含めて『七人の侍』から影響を受けた作品は枚挙にいとまがありません。一方で、本作はここまでガッツリなリメイクですから、『七人の侍』や『荒野の七人』と比較してどうこう語ることになるのは必然の流れ。そうなると、結構ああだこうだと言いたいことがでてくるのもわかります。

ただ、私の感想としては良くも悪くもいかにも現代的な無難なリメイクだったなと思いました。前述したとおり、本作は『七人の侍』や『荒野の七人』のエッセンスをかなり色濃く残した内容になっていて、プロットも基本は同じ。じゃあ、何が違うのかといえば、現代に通じるような商業的なバランス調整&スケールアップが施されたといった感じでした。

まず、何よりも7人のメンバーが人種的な意味で多様性豊かになったという点。黒人もいるのは当然として、メキシコ人、ネイティブ・アメリカン、そしてアジア人までいます。これをもって、現代の世相を反映させたとか、さらには暴れまくるトランプ大統領への図らずも警鐘を鳴らすことになっているとか言う声も聞かれます。ただ、もはやこの多様性アピールはハリウッド映画界における基本ノルマみたいなものなので、とりあえずやりました!という雰囲気もします。

あえてその多様性の観点に注文を付けるなら、女性の扱いが相変わらずステレオタイプでしたね。ヘイリー・ベネットが演じる一応ヒロインポジションのキャラクターも、最後に見せ場が用意されているとはいえ、恰好といい、関わり方といい、イマイチ。どうせなら、7人にメンバー入りして良かったんじゃないだろうか…。

7人のメンバーを演じた俳優陣は今回、すでに大物な役者ばかりを起用しています。この点も、かなり商業的ヒットを意識したつくりなのが明らかです。割とその俳優のイメージそのままなキャラだった気がします。だからなのか、あんまり各キャラの背景が掘り下げられなかったですね。

マグニフィセント・セブン

アクション面は明らかにパワーアップしました。弓矢、斧、ナイフ、ガトリング・ガン、爆発…リアルな西部劇という世界観でできる最大級の大盛りを提供してくれました。これはわかりやすい売りであり、アントワン・フークア監督の得意分野が炸裂してました。

これらのバランス調整&スケールアップは、これはこれで楽しいし、正しいのですが、結果、八方美人な作品になったともいえます。私的にはもっと思い切って変化球を見せてくれても良かったかな…。