スマーフ スマーフェットと秘密の大冒険
映画『スマーフ スマーフェットと秘密の大冒険』の感想&レビューです。前半はネタバレなし、後半からネタバレありとなっています。

原題:Smurfs: The Lost Village 
製作国:アメリカ 
製作年:2017年 
日本公開日:2017年10月7日 
監督:ケリー・アズベリー 

【個人的評価】
 星 4/10 ★★★★

あらすじ

遠いどこかの森にある村で、小さな青い妖精スマーフたちは幸せに暮らしていた。そのスマーフ村で唯一の女の子・スマーフェットは、自分が他のスマーフたちと何かが違うと感じ始めていた。そんなある日、禁断の森で見たこともないスマーフらしき存在を見かけ、あとを追っていくと、失われた村にたどり着く。

ネタバレなし感想

SPAも忘れないで

大手のCGアニメーションスタジオの中でも日本では若干マイナーなのが「ソニー・ピクチャーズ・アニメーション(SPA)」です。親会社は日本なのに日本では知名度が低いのは「どゆこと?」って感じもしますが、作品ラインナップを見ると、まあ、仕方がないかな…という気も。よほどアニメーション映画好きでもないと知らない作品ばかりですから。

しかも、作品ごとの評価がやたらと振り幅が大きいのがソニー・ピクチャーズ・アニメーションの特徴です。例えば、フィル・ロード&クリストファー・ミラー監督の『くもりときどきミートボール』(2009年)やバリー・クック&サラ・スミス監督の『アーサー・クリスマスの大冒険』(2011年)なんかは、批評家からの評価も高い作品でした。

一方、ダメなやつはとことんダメで…。最近も絵文字を題材にした『The Emoji Movie』という作品がアメリカで公開時からその評価の低さで話題騒然となり、日本のメディアでも取り上げられたほど。

そんなソニー・ピクチャーズ・アニメーション作品ですが、日本では劇場公開はされるんですよね。同じく日本ではマイナー化しつつあるドリームワークス・アニメーション作品はトロールズといい、劇場未公開扱いでDVDスルーになる事例が目立ちますけど、あれかな、やっぱり製作と配給がソニーで一致しているがゆえのメリットなのですかね?

それでもってソニー・ピクチャーズ・アニメーション作品最新作である本作『スマーフ スマーフェットと秘密の大冒険』も日本で劇場公開されました。

ただ、限定公開であり、劇場公開と同日にデジタル配信もされています。私としては全然こういうのでもいいと思います(マイナー作品なら)。

内容としてはシンプルなファミリー映画であり、家族で観るも良しですし、吹き替えも用意されていますから、声優目当てで観るも良し。気軽に鑑賞できる作品です。






↓ここからネタバレが含まれます↓





ネタバレあり感想

普通のアニメ映画に転身

日本人には「スマーフ」はあまり認知されていないですよね。

公式サイトには「全世界で驚異の知名度95%」って書いてありますけど、たぶん私たち日本人は残り5%に該当するのだろうな…。もちろん、知ってるよ!という人もいるでしょうけれど。

「スマーフ」は、ベルギーの漫画家のピエール・クリフォールの漫画に登場するキャラクターで、1958年が初出であり、地域漫画(バンド・デシネ)の古典的存在。アメリカでは1970年代に子ども向けアニメとして大ブームとなり、お茶の間の有名キャラに。対して日本では「スマーフ物語」として1985年に刊行され、アニメも「小さな森の精 あいあむ!スマーフ」で放映されましたが、覚えている人はどれくらいいるのだろうか…。

映画では、すでにソニー・ピクチャーズ・アニメーションが映画化していて、しかも実写とCGアニメーションを融合させた変わり種でした。この『スマーフ』(2011年)は、まあまあヒットした…のかな? 一応、続編も作られました。

そこからの本作。完全にフルCGとなり、旧作と比べて、アニメーションのリアル度も抑えめ。なんというか“普通”になりましたね…。よく言えば幅広い客層に受けやすい安心感のある絵であり、悪く言えば真新しさはない…そんな作品でした。

ただ、褒めるなら、実写とCGアニメからなる旧作『スマーフ』でも見られたコミカルな動き(とくにガーガメルの猫とか)はそっくりそのままCGアニメ化されていて、楽しかったです。逆に旧作『スマーフ』では猫はリアルな猫でやっているので、それはそれで愉快なので良かったら観てみてください。また、禁断の森のドラッキーな世界観は素直に目を飽きさせない面白さがありました。

子ども向けのファミリー映画としてはスタンダードな一作です。

スマーフ スマーフェットと秘密の大冒険

まだまだ可能性あり

それでも、もっと大胆な世界観・キャラクター・シナリオにしてほしかったというのが正直な感想。どうしても普通だったねという感想になってしまいます。

世界観については、今回はスマーフたちが禁断の森に出かけて未知の世界にびっくりするというのが本筋ですが、観客としてはスマーフもじゅうぶん不思議な生き物なので、イマイチ驚きが共有されないですよね。あの万能テントウムシが本作に登場する生物で一番凄いと思う…。それだったら旧作『スマーフ』の、スマーフたちがニューヨークの都会へ行くという展開の方がよっぽどワクワクしました。

それでシナリオですが、これも子ども向けだから良いでしょうと言ってしまえばそれまでですけど、でも、やはり雑な部分も気になって…。

そもそもスマーフェットたちが禁断の森に行かなければ、ガーガメルは隠れ村にたどり着けなかったのではないかという疑問は拭えないし、ドラマ展開も…。スマーフェットがなぜガーガメルに勝てて、そして復活したのか…うやむやで勢い任せなのは残念です。これじゃあ、子どもに理由を聞かれたら大人は説明できないですよね…。

個人的にはこの手の子ども向けのファミリー映画には、大人が子どもに話してあげられる教訓的な事柄が欲しいと思ってます。

本作の実質的な主人公スマーフェットの扱いをもっと活かしてほしかったです。有用性はともかくそれぞれが何かしらの特徴を持つスマーフたちの中でも、唯一の女性にしてその特異な出自のため、役割を見つけられないスマーフェット。こういう無個性な一般人Aが存在意義を見出していくストーリーはありがちですが、本作はその“ありがち”から抜け出せずに終わりました。もっと今の社会問題を絡めることもできたろうに…。 

たとえ子ども向けでもアレンジしだいで素晴らしいオリジナリティ溢れる作品にも変身できるはずです。同じくソニー・ピクチャーズ・アニメーションの『くもりときどきミートボール』は原作が絵本でありながら大胆なアレンジで魅了させてくれました。せめてドリームワークスの『トロールズ』のように本格的ミュージカルにするくらいの遊びがあれば別でしたけど…。

まだまだ可能性を引き出せそうな作品でした。さらなる挑戦に期待しています。

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