咲 Saki
映画『咲 Saki』の感想&レビューです。前半はネタバレなし、後半からネタバレありとなっています。

原題:咲 Saki 
製作国:日本 
製作年:2017年 
日本公開日:2017年2月3日 
監督:小沼雄一 

【個人的評価】
 星 4/10 ★★★★

あらすじ

21世紀、世界の麻雀競技人口は1億人を超え、日本でも大規模な大会が開催されるようになっていた。高校1年生の宮永咲は、天才的な麻雀を打つ同級生・原村和に感化され、麻雀部に入った。そして、いよいよインターハイ予選に臨み、並み居る強敵たちに立ち向かっていく。

ネタバレなし感想

2017年びっくり実写化第1作

毎年と変わらず漫画やアニメの実写化映画企画が目白押しな2017年ですが、2017年最初の「えっ、それが実写化!?」となった作品は、本作『咲 Saki』だったのではないでしょうか。

「Saki」と聞いたら、外国人が「Sake(酒)」をたまにこんな風にスペルミスしていることを思い出すくらいの、どうしようもない私ですが、原作漫画はめちゃくちゃ有名な漫画なんですね。小林立による麻雀を題材にした漫画で、2006年から始まり、2017年現時点でもなお連載が続いているというロングヒットコミック…というのを、普段漫画を読まない私は今さら知りました。

麻雀が一般的なものとして広く浸透した架空の日本が舞台で、基本的に女子高生ばかりが登場して活躍する、いわゆるオタク濃度の非常に高い作品。しかしながら、その強烈な作風が凡百の“女の子がたくさんでる”オタク系作品にはない魅力としてウケたみたいです。

以前からテレビアニメ化はされて、こちらも好評を博してきたようですが、今回、実写化プロジェクトと題してテレビドラマ化と実写映画化が発表。2016年末にはテレビドラマが特別編含めて5話分が製作され、その続きとして劇場版となる本作が公開されました。

大手配給会社の大作と比べたら当然の小規模公開でしたが、毎度のことの事前の実写化への不安感を意外なほど吹き飛ばすほどの良評価を原作ファンからも集めたようで、なんか、良かったですね(平凡)。

原作を読んだこともない、アニメも見たことがない、ドラマも見たことがない、そもそも麻雀のルールさえよく知らない…そんなリスペクトのない私の感想を読みたいという人がいれば、以下を読み進めてもらえれば…。






↓ここからネタバレが含まれます↓





ネタバレあり感想

ガチの麻雀映画だった

原作に触れたことがない私が本作を観て一番驚いたのが、ずっと麻雀しかしてない!ってことです。

普通のこの手の“青春部活系”映画は、友情・恋愛・学業・悩みなどドラマパートの中に部活勝負シーンが要所要所挿入されて、全体のメリハリがつくもの。なかには主題となる部活勝負要素が疎かになって批判される作品もたまにあります。

ところが、本作は上映時間のほぼ全て、100分以上、麻雀しっぱなし。インターハイ予選を丸々描くために原作内容を詰め込んだのはわかりますが、ここまでALL麻雀とは。スポ根なんて生易しいものじゃない、“ガチ”だった…。正直、舐めてました、ごめんなさい。

じゃあ、本作にドラマはないのかというとそんなことはなく、麻雀しながらドラマが語られてました。もう麻雀が言語化してます。でも、この作風が、麻雀を通して会話ができるという主人公の主題が生きてくる設定にもなっており、違和感ないどころか、ハマってると思います。

映画を観た後、テレビドラマを観たのですが、さすがにここではドラマパートがあるのかなと思ったら、やっぱり麻雀成分めちゃくちゃ多めなんですね。さらにその後、ネットでいろいろ原作の雰囲気やキャラや名ゼリフやらを調べては見たものの、これはもう「麻雀全振り」な作品なのかな?

ドラマツルギーの基本を“全部ゴッ倒す!!”作品でした。

咲 Saki

実写化による新しい魅力

麻雀のガチさ以外の本作の特徴であるキャラクターですが、原作ファンはいろいろ言いたいこともあるのでしょうが、右斜め上の味付けがされている登場人物たちを恥ずかしげもなく堂々と演じている役者陣の姿は良かったと思います。

よくこういう実写化は「コスプレ大会」だと冷笑されることもありますが、少なくともこの手のド直球なジャンル映画なら、それもそれでありだと個人的には考えてます。例えば、ティム・バートン版『バットマン』シリーズは当時の映像表現の問題もあり、どうしてもコスプレ感から脱せてはいませんが、それを開き直って思いっきり楽しんでいる感じが私は好きです。

また、本作は実写化にともない、「アイドル映画」としての新しい面白さが顔を出しているので、実写化も悪いものじゃないでしょう。エンドクレジットのオフショットとか、もろにアイドル映画でしたし。たぶん、本作を観た原作ファンが「嫌いにはなれない」「むしろ楽しかった」と言いたくなるのは、こういうアイドル映画要素に食指が動いたからなのかもしれません。

アイドル映画好きの人が本作を観て原作や麻雀にハマることもあるでしょうし、原作好きの人が本作を観てアイドル映画ジャンルの沼にハマることもあるでしょう。良い相互作用なのではないでしょうか。

欲を言うなら、もっとケレン味ある映像表現が見たかったです。次作があるなら、どんどん映像に凝って遊んでいってほしいですね。本作で終わりなのはもったいない実写化企画だと思います。役者陣もあんなになりきっていたのだから…。ネット配信とかのほうが合っているかも。

これは“女の子がたくさんでる”オタク系作品がアイドル映画として生まれ変わっていく現象が増えるかも…しれない…。

(C)小林立/SQUARE ENIX・「咲」プロジェクト