ライフ
映画『ライフ』の感想&レビューです。前半はネタバレなし、後半からネタバレありとなっています。

原題:Life 
製作国:アメリカ 
製作年:2017年 
日本公開日:2017年7月8日 
監督:ダニエル・エスピノーサ 

【個人的評価】
 星 6/10 ★★★★★★

あらすじ

世界各国から集められた6人の宇宙飛行士が滞在する国際宇宙ステーション。そこへ遠く火星からやってきた探査カプセルが届く。しかも、その採取物のなかには未知の生命体の細胞があった。地球外生命体の発見に喜び沸き立つメンバーだったが、その生命体は恐ろしい能力を隠し持っていて…。

火星さん、今度は何ですか

じゃがいも育てたり(オデッセイ)、出産したり(キミとボクの距離)、夢を抱かせたり(マーズ・ジェネレーション)…何かと映画界にネタを提供してくれる火星ですが、今度は恐怖をお届けしてくれます。

といっても、本作『ライフ』には火星は一度も出てこない、宇宙船での密室スリラーです。

あらすじを見ればわかるとおり、かなり『エイリアン』そのままな感じ。よりによって今年は「エイリアン」シリーズ最新作『エイリアン コヴェナント』が公開されますから、もろ被りじゃないかと思う人もいるでしょう。

でも案外そこは差別化されていて、それはそれ、これはこれで楽しめると思います。繰り返しになりますが、本作は宇宙船だけが舞台の密室劇。予算も割と抑えめななかでも恐怖させるための演出に丁寧な工夫が感じられます。また、パッセンジャーのような恋愛要素は全くないので、純粋にスリラーにどっぷり漬かれるのも嬉しいところ。常に持続する恐怖にゾクゾクします。

監督の“ダニエル・エスピノーサ”は『チャイルド44 森に消えた子供たち』を手がけたスウェーデン出身の人。不穏感を醸し出し続ける演出が上手いですよね。

↑ソ連で起きた子どもたちの変死体事件を描く。

脚本の“レット・リース”“ポール・ワーニック”は『ゾンビランド』という作品で高く評価されたコンビですが、なんといってもデッドプールの脚本での成功が記憶に新しいです。

豪華俳優陣にも注目です。“ジェイク・ギレンホール”“ライアン・レイノルズ”“レベッカ・ファーガソン”、そして我らが日本から“真田広之”。あと2人を合わせて計6人の少数精鋭の主役キャストが、しっかり恐怖を引き立ててくれます。

本作のような宇宙を舞台にした作品は巨大なスクリーンでこそ映える魅力があるので、映画館で観ることを推奨します。映像も迫力があって、綺麗ですから。

SFスリラーとして丁寧に作り込まれた良作であり、こういうジャンルが好きな人は観て損はないと思います。あと、アメコミファンは観ておいた方がいいかもしれません。なぜって? なぜでしょう。






↓ここからネタバレが含まれます↓





救いはないんですか!

本作は純粋に恐怖を専売にしたSFスリラーではありますが、ゴア描写のような直接的な残酷シーンはないんですね。それでもちゃんと怖いのは、殺され方がどれもエグイからでしょう。このエグさが本作の魅力です。

まず最初の被害者となるヒュー。火星のサンプルから発見されたカルビン(Calvin)と名付けられた未知の生命体をとても可愛がるヒューに襲う最初のショックシーンがインパクト絶大。手が砕かれる過程が異様にリアルで、そして時間が長い。もう、いや~~となるし、いつ解放されるんだとヒヤヒヤです。

這いまわるヒトデのような見た目になったカルビンの隙をみてラボに突入し、一命だけはとりとめたヒューを外に出したローリーが次の犠牲者。火炎放射による抵抗も虚しく、襲われるローリーですが、ここでカルビンがやるのはローリーの「口」から入って中をグチャグチャにするという、考え得るかぎり最悪の殺し方なのが悲惨極まりない。

お次は通信機を直そうと船外に出た指揮官キャット。耐久性の非常に高い宇宙服相手にどうするのかと思ったら、宇宙服の冷却装置が破壊されて宇宙服内に満たされていく水で溺れていきます。こんなの嫌だ…。

比較的ショウはあっさりと死にますが、ショウが閉じこもったポッドをバキバキバキと圧迫破壊するシーンは恐ろしかった…。ちゃんとホラーの緩急がしっかりしているのも本作の良さです。

ライフ

そして最終的に生き残ったミランダとデビットの二人は、デビットが犠牲になってカルヴィンごと脱出ポッドで宇宙の彼方へ行き、ミランダは別の脱出ポッドで地球へ戻るという作戦を決行。しかし、どういうわけか、立場は逆転。ミランダの脱出ポッドは宇宙の彼方へ、デビット&カルビンの脱出ポッドは地球へ降り立ってしまったのでした。

これ以上ない見事なバットエンドですよ。久しぶりにこんな綺麗なバットエンドを見たな…。ノック・ノック以来かな。

いくらスリラーといっても、たいていは、何かしらの救いや希望を予感させる要素を入れたりするものですが、ヒトカケラもないですからね、本作。そういう意味では、豪華キャストと豪華な映像を使っての非常に挑戦的な映画だったといえるでしょう。

あれの正体はアイツ?

それでです。ここからは信憑性の低い噂レベルの話なので注意。

豪華俳優陣をバットエンドに直行させた魔物カルビン。この生物の正体について、本作が先に公開されたアメリカではネットでこんな憶測が飛び交いました。

それは「カルヴィンは“ヴェノム”なのでは?」というもの。

「ヴェノム」というのは「スパイダーマン」シリーズに登場する敵です。実はスパイダーマンの宿敵『ヴェノム』のスピンオフ映画が2018年10月5日に公開予定で、配給は本作『ライフ』と同じソニー・ピクチャーズ。この『ライフ』は『ヴェノム』のプリクエル(前日譚)なんじゃないかというのです。

確かに変化して大きくなっていくカルビンは最終シーンでは「ヴェノム」に似た顔つきになってました。それだけじゃなく、本作『ライフ』のTVCMの一部で「スパイダーマン3」と同じカットが使われていたそうで、それが憶測に火をつけたようです。また、映画『ヴェノム』の他にもソニー・ピクチャーズは「スパイダーマン」シリーズの敵キャラの作品を「ユニバース」的に公開していくようですから、あながち全くありえないとは言えません(ちなみに『ヴェノム』は「マーベル・シネマティック・ユニバース」とは別)。

でも、そうだとしたら『ヴェノム』に続くことを示す何かを本作のクレジットの終わりに入れないと変ですし、やっぱり、妄想かな…。

まあ、後付けでどうにでもなるしね(台無し)。

こういう妄想が生まれるのもきっと本作がB級SFホラーとして非常に良く出来ている証拠なのでしょう。

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