レゴバットマン ザ・ムービー
映画『レゴバットマン ザ・ムービー』の感想&レビューです。前半はネタバレなし、後半からネタバレありとなっています。

原題:The LEGO Batman Movie 
製作国:アメリカ 
製作年:2017年 
日本公開日:2017年4月1日 
監督:クリス・マッケイ 

【個人的評価】
 星 7/10 ★★★★★★★
 

あらすじ

誰もがその名を知るゴッサムシティのヒーローであるバットマン。いつものように宿敵ジョーカーと仲間の悪者たちが悪事を働き、いつものようにバットマンが彼らを懲らしめる。そんな日々はある時、唐突に終わりを告げた。動揺するバットマンの前に、いまだかつてない超ド級の危機がやってくる。

レゴだ! コウモリだ! いやバットマンだ!

これまでたくさんの映画を観てきたなかで、私がトップクラスに好きなCGアニメーション映画を挙げるなら『LEGO ムービー』は外せません。

「レゴ」というブロック玩具は、知らない人はいないのではないかというくらい超有名なオモチャであり、つい最近も日本でテーマパークがオープンしたりしています。そんなレゴを題材にしたCGアニメーション映画が2014年公開の『LEGO ムービー』です。

リニューアルして生まれ変わったWarner Animation Groupの記念すべき第1作です(ちなみに第2作目は2016年に公開された『コウノトリ大作戦!』)。

この作品、何が凄いかというとまず世界観。全部レゴで出来ているのです。建物や地面などはもちろん、炎や水までもレゴで再現する徹底ぶり。キャラクターの動きもわざわざレゴっぽくカクカク動きます。本当にレゴで組み立てたのかと思ってしまいますが、ストップモーションではなくコンピュータ上でCGのレゴを組み立てています。世界観といえばこの映画はとにかくふざけまくっており、メタなギャグも含めてノンストップな怒涛の勢いによるボケの連続に、大いに笑えるのも見どころ。本当に楽しい映画です。

ただ、これだけだと楽しいだけの映画なんですが、それだけでは終わらなかったのが、コアな映画批評家からも大絶賛された理由。詳しくはネタバレになるので書きませんが、終盤の大どんでん返しにより、予想以上の深いテーマが隠されていたことに驚愕します。子ども向けと侮ってはいけないのです。

まだ観ていない人は、騙されたと思って、ぜひ一度鑑賞を!

↑世界観に秘められた大きな仕掛けが判明したとき、
「そういうことか!」と驚くはず。

そんな傑作『LEGO ムービー』に登場したレゴのバットマンを主人公に据えて新たに物語を描いたのが本作『レゴバットマン ザ・ムービー』。『LEGO ムービー』と世界観は共通しているような、してないような…まあ、このシリーズの場合、どうにでもなるんですけどね。スピンオフといった感じです。

監督は『LEGO ムービー』のフィル・ロード&クリストファー・ミラーのコンビではなく、アニメーション共同監督を務めたクリス・マッケイが担当。でも、相変わらずハチャメチャな映画になっていて、『LEGO ムービー』らしさはしっかり継承してます

レゴ好き、バットマン好き、レゴもバットマンも興味ない人…誰でも大満足できるオススメの一作です。吹き替えも字幕もどっちでも楽しめますが、セリフだらけで展開が早いので吹き替えのほうがわかりやすいかもしれません。






↓ここからネタバレが含まれます↓





従来のアメコミ映画の百歩先をぶっ飛ばす

2016年、最も意外性を持って高い評価を得たアメコミ映画といえば『デッドプール』です。この映画の特徴は、他のアメコミ映画さえもネタにするメタなギャグ。

そして、本作も「バットマン版のデッドプール」と言えるような内容でした。

映画の始まりからそのノリは全開。「映画というのは黒い画面から始まるものだ」とのバットマンの声が聞こえ、その後に画面に表示される映画製作企業のロゴをいじり出し、続いて映画の冒頭にありがちな言葉の引用をいじり倒す。やりたい放題です。

いじりの矛先はもちろんバットマン作品そのものにも向けられます。バットマンが家族写真を見て思い悩むシーンでのアルフレッドの言葉「こういう状況は、2016年、2012年、2008年、2005年、1997年、1995年、1992年、1989年、1966年にもあった」のとおり、ほぼ全てのバットマン作品をおちょくってました。1966年の『バットマン オリジナル・ムービー』だけ実写が挿入されるという遊びが愉快。この『バットマン オリジナル・ムービー』は、最近の『ダークナイト』3部作からバットマンを知った人にしてみれば、全くシリアスではないふざけまくったバットマンの姿に衝撃を受けると思います。そう考えると『レゴバットマン ザ・ムービー』は『バットマン オリジナル・ムービー』のノリですね。

↑「バット・サメよけスプレー」も出てくる!

他のギャグも実に良い意味でくだらない。「アイアンマンのバ~カ」のパスワードのくだりがありましたが、まさにこの「バ~カ、バ~カ」みたいな小学生レベルの罵り合いです。

にもかかわらず、劇中で起きる展開は、おそらくこれまでのDCコミック映画はもちろん全アメコミ映画の中でもトップクラスに盛大なのが凄い。アメコミ映画史上最大キャラ出演は『アベンジャーズ インフィニティ・ウォー』までお預けかと思いましたが、やっちゃいましたね…。まあ、「ジャスティス・リーグ」を戦わせなかったりと、多少の大人の事情も感じましたが。

元ネタを知っていても知っていなくても楽しいのは『LEGO ムービー』と同じ、ギャグのてんこ盛りと映像のド派手さは『LEGO ムービー』以上。スピンオフの枠には留まらないアメコミ映画の歴史に残る一作でした。

レゴバットマン ザ・ムービー

レゴ映画の可能性は無限大

とまあ、全体的に素晴らしい作品なんですが、レゴであることの題材の活かし方はやはり『LEGO ムービー』の衝撃を上回るものではないです。ただ、これは『LEGO ムービー』が一種の禁じ手を使っているだけなんですが。

今作のテーマも、かなり最初の段階から明確に提示されるので、観客側にはストーリーの展開が予想つくし、ちょっとウェットな場面が多いかなとも思ったり。『LEGO ムービー』の場合は、テーマを最後まで隠しているのが評価のポイントでした。ちなみに本作のテーマである、正義のヒーローと悪のヴィランの共依存的な関係性を描いたアニメーション映画の先例といえば『メガマインド』 がありましたね。

↑日本では劇場公開されなかった、隠れた名作。

それでも、ありそうでなかったバットマンの家族という概念への受け止め方と今後の発展をしっかり語れるのは、やはりレゴ映画シリーズだからこそ。レゴというおもちゃは“自分で作って壊せる”…つまり題材を見つめ直すにはうってつけなんですね。これを機に、今のイマイチなDCコミック実写映画も見直してもいいのでは?というのは余計かな…。でも、一応、言っておくべき点としては、本作との比較をもってして最近のDCコミック実写映画はダメだというのはアンフェアな気もします。だって、近年のアメコミ映画のよくあるテーマである「ヒーローが活躍することによる街や人命への犠牲」の是非とか、レゴの世界には関係ないですから。レゴはいくらでも作り直せるし、死という概念さえあるのか疑わしいですしね。本作のハチャメチャはレゴだけに通用する特権です。

ともかく、レゴ映画シリーズの可能性がさらに開かれた気がします。今後続く『レゴ ニンジャゴー ザ・ムービー』と『LEGO ムービー 続編』も楽しみです。

(C)2017 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC