ジュマンジ ウェルカム・トゥ・ジャングル
映画『ジュマンジ ウェルカム・トゥ・ジャングル』の感想&レビューです。前半はネタバレなし、後半からネタバレありとなっています。

原題:Jumanji: Welcome to the Jungle 
製作国:アメリカ  
製作年:2017年 
日本公開日:2018年4月6日 
監督:ジェイク・カスダン 

【個人的評価】
 星 6/10 ★★★★★★

あらすじ

高校の地下室で居残りをさせられていた4人の生徒たちは、「ジュマンジ」というソフトが入った古いテレビゲーム機を発見する。そのゲームで遊ぼうとする4人だったが、キャラクターを選択した途端にゲームの中に吸い込まれ、各キャラクターのアバターとなって危険なジャングルの中に放り込まれてしまう。現実世界に戻るにはゲームクリアするしかなかった…。

ネタバレなし感想

なぜ大ヒットしたんだ…

2017年のアメリカ映画業界におけるサプライズ大ヒット・ムービーは間違いなく『ゲット・アウト』でしたが、まさかの年も終わりの12月にダークホースが登場して話題になりました。『スター・ウォーズ 最後のジェダイ』や『グレイテスト・ショーマン』といった名だたる大ヒット確実と言われた作品を押しのけて、ズカズカと前に出てきたのがコイツ。

それが『ジュマンジ ウェルカム・トゥ・ジャングル』。あの1995年に公開された『ジュマンジ』のリブート的続編となる映画です。

配給はソニー・ピクチャーズ・エンタテインメントなのですが、ソニー・ピクチャーズ作品でこれまで大ヒットを記録したのは何と言っても「スパイダーマン」シリーズ。しかし、本作はその「スパイダーマン」の記録をぴょーんと越えて歴代1位の興行を記録してしまったから驚き。監督の“ジェイク・カスダン”さえも「なぜヒットしたのかわからない」と言っているという、もはや関係者が一番困惑している状態です。

正直、私もこの映画の企画を映画情報サイトで見たとき、「今さら、ジュマンジなんてもう一度やって面白いのかな…」と思っていました。一応、言っておくと1995年の『ジュマンジ』は好きですよ。とくに動物たちが町に現れて大パニックという光景が当時の最新映像技術で見られるのが愉快でした。でも、兄弟作品の『ザスーラ』の方がもっと好きなのですが…。

それはともかく、本作の大ヒットは私も「マジか」となりましたし、批評家さえも「マジか」となったわけです。

しかし、本作が特大ヒットした理由は単純明快なんですね。

その理由は、子どもにウケたということ。それのみです。それを示すように、全米の3000万人の子どもが選ぶ「キッズ・チョイス・アワード」で、本作は2018年のフェイバリット映画賞を受賞しています(ちなみに2017年は『ゴーストバスターズ』でした)。ソニー・ピクチャーズは『ゴーストバスターズ』に続いて子どもウケのヒット作を生み出す点においては好調ですね。

では、なぜ子どもウケするのかという疑問については、後半の「ネタバレあり感想」で言及するとして、これだけアメリカでは子どもの心を掴んだのですから、ぜひ日本の子どもたちにも見てほしいです。

日本では「マジジュマンジ」と宣伝しているように、女子高生狙いになっているのは若干の外している気もしますが、どちらかと言えば小学生に大人気のYoutuberとコラボすべきだったような…。日本だとTVアニメの劇場版が支配的な4月の映画館ですが、本作のような実写も家族鑑賞映画の候補に加えてはどうでしょうか。

ちなみに全国的な通常の公開日は4月6日ですが、4DX版だけ数日前から先行公開していたんですね。4月は4DX系大作の激戦時期ですから、早めたのでしょうか。それも正解ですかね。






↓ここからネタバレが含まれます↓





ネタバレあり感想

ドウェイン・ジョンソンになりたい

本作の物語は、「ジュマンジ」という名のゲームを遊び始めたことで騒動に巻きまれるという土台では、オリジナルとなる1995年の『ジュマンジ』と共通していますが、①ボードゲームからビデオゲームに変わっていること、②主人公が子どもの姉弟&大人の男女からティーン4人に変わっていること、③起きる現象が現実世界で再現されるものからプレイヤーがゲーム世界に入り込んでしまうものに変わっていること…といった違いがあります。つまり、結構別物です。

そして、本作の主軸となっているのが、『ブレックファスト・クラブ』的な、学校での立場が全く異なるティーン同士が半ば強制的に同じ目的を背負わされて互いを理解し合う系ストーリー。ただ、本作の場合は、しっかりイマドキにリニューアルしていて、主人公組のティーンたちの人種もバラバラです。最近だと『パワーレンジャー』や『スパイダーマン ホームカミング』と同様のスタイルですね。

しかし、これだけでは他のティーン青春映画と変わり映えしません。対して本作はここに超強引なトッピングを加えたことが、大きな決め手になった感じでしょう。

それが変身。ゲームの世界に入り込んだティーンたちは事前に選択したアバター(操作キャラクター)と同じ姿になってしまいます。そのゲーム世界内での主人公たちを演じるのが“ドウェイン・ジョンソン”、“ケヴィン・ハート”、“ジャック・ブラック”、“カレン・ギラン”の4人

ロック様こと“ドウェイン・ジョンソン”が現れた瞬間の画面支配力ですよ。完全に別映画になってます。やっぱり今のアメリカのティーンたちは、「パワーレンジャー」や「スパイダーマン」よりも「ドウェイン・ジョンソン」になってみたいんでしょうね。いや、それは私もですよ。筋肉無双してみたいもの。

ジュマンジ ウェルカム・トゥ・ジャングル

俳優コミカル演技芸合戦

本作では、元のティーンとは見た目も性格も正反対のアバターになったことで起こるドタバタギャグが売りになっています。

リスにもびびる小心者なスペンサーが変身したのは、どう考えても見た目は最強な“ドウェイン・ジョンソン”で、「泣くな泣くな泣くな」とビビりながらの筋肉ボディに困り顔が絶妙なアンバランス。大柄で″俺は誰とも慣れ合わねぇよ”感を出していた不良黒人フリッジが変身したのは、正反対のギャグキャラ黒人でしかない“ケヴィン・ハート”で、もう弱体化なんてものじゃない。セルフィーしてばかりの毎日のベサニーが変身したのは、最もSNS映えはしないであろうデブオヤジの“ジャック・ブラック”で、さすがに可哀想になってきます。地味系女子で学校でも目立たないマーサが変身したのは、絵に描いたようなセクシー美女“カレン・ギラン”で、こちらはきょどっている姿が愛らしいです。

そしてこれら歪な“中の人”を抱える俳優陣による掛け合いで生じる、コミカルな演技芸合戦の炸裂具合が実に愉快。“ドウェイン・ジョンソン”と“ケヴィン・ハート”は『セントラル・インテリジェンス』でも息の合ったコンビを見せていましたが、今作でも抜群の漫才を披露。基本、どちらもボケに落ちてしまうのが笑えます。
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“ジャック・ブラック”による“カレン・ギラン”への男性誘惑講座とかはシュールすぎて意味不明だし、“ドウェイン・ジョンソン”と“カレン・ギラン”による世界一不器用なキスもなかなかのインパクト。

事実上、有名俳優一日体験をしてしまっているわけですが、こういうティーンがあり得ない変身をするというのは、『レディ・プレイヤー1』など昨今の流行。その中でも、本作はチート級な反則技を変にシリアス要素を入れずに、極めてライトに雑に扱うのがいいんでしょうね。結果、子どもたちが気軽に楽しめる万人受け感を出しています。

ゲーム的楽しさの映画化に成功した一作

ギャグ自体も非常に万人受けできるようなバランスが揃っていました。全体的にイマドキなジョークとオールドなジョークの配分がいい感じです。

例えば、開始早々ベサニーがカバに喰われるとか(ワニじゃなくてカバなのがマヌケでいい)、ケーキが弱点のフリッジがケーキを食べた瞬間に爆発するとか、単純すぎるスラップスティックはそれこそお年寄りから子どもまで笑えるでしょう。

普通だったら死を描くのは残酷なので子どもに見せたくない心情が大人は働くのですけど、本作の場合、ゲーム世界なので死さえもネタになるのですよね。まあ、それにしたってライフが3つしかないのに、安易な理由で死に過ぎでしたけど。

もちろん、先に紹介した俳優ギャグも知っている人であれば楽しいです。このへんは日本人には100%の理解が難しいところですが、比較的わかりやすい抽象化がされている方だと思いました。“ドウェイン・ジョンソン”の「弱点“なし”」がもはやギャグなのが個人的には好きです。

性別転換変身なら絶対にあるであろう下ネタもきっちり挟んでくるし(子どもに見せられるレベル)、ゲームが舞台なのでゲームネタも多数入るのはわかる人には面白い部分。最初に「ジュマンジ」を見つけたときの「任天堂の古いゲーム?」のセリフとか、同じことしか言わないNPCとか、どう考えてもジャングルを歩く格好ではない姿になったマーサがそれに自分ツッコミを入れるシーンとか(トゥームレイダーのララさん…)。
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疑似カットシーン(いわゆる「ムービー」)のギャグは普段ゲームをプレイしている人にしかわからないですよね。

本作を観て思ったことがひとつ。これ、日本でもパクリ…いや、参考にして同じような映画を作れるのではないか…。ゲーム大国なんだし、日本の映画界はもっとゲームから学ぶべきですよ。ゲームの実写映画化はアメリカでも失敗続きなところがありますが、本作はゲーム的楽しさの映画化に成功している…そこが重要ですよね。

↑ティーン映画の名作『ブレックファスト・クラブ』。今観ると色々な意味で古い作品になりました。

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