ジョン・ウィック チャプター2
映画『ジョン・ウィック チャプター2』(ジョン・ウィック2)の感想&レビューです。前半はネタバレなし、後半からネタバレありとなっています。

原題:John Wick: Chapter 2 
製作国:アメリカ 
製作年:2017年 
日本公開日:2017年7月7日 
監督:チャド・スタエルスキ 

【個人的評価】
 星 8/10 ★★★★★★★

あらすじ

ニューヨークを舞台にロシアン・マフィアを相手に繰り広げた壮絶な復讐劇から数日後。平穏な生活を送りたいジョンのもとに、イタリアン・マフィアのサンティーノからの殺しの依頼をされる。しかし、それを断ったことで、ジョンはさらなる復讐劇に身を投じ、やがて最悪の事態を招いていく。

これが最新のキアヌ・リーブスだ

“キアヌ・リーブス”は、とても日本受けが良い俳優です。なぜなら、彼はとても日本をリスペクトしてくれているから。それはお世辞でもなんでもなく、仏教徒であり、アクション俳優“千葉真一”の熱狂的な信者であり、ラーメン大好きであり…要は“ガチ”なのです。こういうオタク的な趣味への傾倒が親近感につながりますね。

そんな“キアヌ・リーブス”の代表作は?と一般人に聞けば大方の人は『マトリックス』と答えるでしょうが、『マトリックス』も18年も前の作品です。『マトリックス』の“キアヌ・リーブス”しか知らない人にぜひオススメなのが『ジョン・ウィック』というアクション映画。

↑最新のカッコいい“キアヌ・リーブス”を見たいのなら必見。

その『ジョン・ウィック』の続編『ジョン・ウィック チャプター2』が公開されました。

劇場へGO…と言いたいところですが、前作を観ていないよという人のために第1作のストーリーを簡単に解説しましょう。

最愛の妻を亡くし、家で独り寂しく意気消沈していた“キアヌ・リーブス”演じる主人公ジョン・ウィック。そこへ届いた荷物、それは可愛らしい“子犬”でした。「あなたには愛する人が必要よ、安らぎを見つけなさい」との妻からの手紙に涙を流し、デイジーと名づけた子犬に一心に愛情を注ぐション。ところが、昼間に絡んできたチンピラ風情の若い男たちが、ジョンの愛車を奪うために、その晩、襲来。ふいをつかれたジョンは意識が朦朧とし、しかも子犬を無残に殺されてしまいます。襲来から一夜明けて、子犬の亡骸を抱き寄せるジョンは、2度も愛する命を奪われたことで覚醒。そう、この男、ただものじゃなかったのです。ジョンの正体は、マフィアのボスでさえも冷静さを失うほどビビりまくる、裏社会で一目置かれる恐怖の殺し屋(引退)なのでした。身なりをビシッと整えたジョンは、銃を手にして、次々と立ちはだかる目の前の敵を容赦なく排除。子犬を殺した若い男(マフィアのボスの息子)も、マフィアが雇った殺し屋も、マフィアのボスも殲滅。完璧に復讐を成し遂げたのでした。

とまあ、こんな話です。これだけ聞くと「普通じゃない?」と思う、よくある復讐系の作品ですが、本作の何よりの魅力は構築された世界観。殺し屋御用達の遺体回収業者、ホテル、クラブバーなどが登場したり、殺し屋業界だけが使う硬貨があったり、殺し屋の掟があったり、色々な裏設定が垣間見えるのです。さらに他の殺し屋もバックボーンを感じさせ、観客の想像を刺激します。

なんというか、こういう作り込まれた世界観を用意する感じが、日本の少年漫画っぽいです。単なるアクションが売りの作品ではなく、世界観に深みがあります。ゆえに本作はアクションファン向けの作品にとどまることなく、幅広い映画ファンの支持を集め、高評価を獲得したのでした。

続編となる『ジョン・ウィック チャプター2』は想像以上のパワーアップを遂げています。単に映像が派手になったとかそんなちんけなものじゃない。あなたの妄想を満腹にさせるためのフルコースのような世界観の広がり。前作は前菜だったのです。

本国アメリカでは前作以上の高い評価。今、一番勢いがあるアクション映画シリーズに成長しました。

前作ファンも“キアヌ・リーブス”ファンも大満足間違いなし。新規の人も今からなら遅くはありませんよ。






↓ここからネタバレが含まれます↓





ジョン・ウィック無双

本作が凄いのはホントに前作の終わりから間もない時間経過で、2作目がスタートするということ。なんでも前作から5日後らしい。5日って、下手したらゴールデンウィーク以下ですよ。ジョンを休ませてあげて…。

このノンストップ感が2作目もずっと続く。きっとおそらく3作目も2作目の終わりからすぐ始まるのでしょう。

序盤のシークエンスは完全に前作の続き。ストーリーの魅力さえも同じ構成です。前作で奪われた車を取り戻していなかったので、愛車のあるマフィアの作業場に襲来するジョン。取り仕切っているのは前作で倒されたロシアン・マフィアのボスの弟。とばっちりです。もうこのシークエンスは完全にコメディで、兄と同じくジョンが攻めてくると知って「ヤベぇよ、ヤベぇよ」状態の大の大人。鉛筆で3人も!を繰り返すあたりや、ジョンが部下たちを殺していく音だけ聞きながら死刑宣告を待つかのような表情は、前作を継承する天丼ギャグと化していました。

ここのジョン・ウィックの無双っぷりももはやギャグの領域で、車でガンガンぶつかられようが、銃をバンバン撃たれようが、完全無敵。敵に同情したくなる…。

このオープニングだけでファンも新規も最高!となるのではないでしょうか。

妄想が捗る世界観

そして、イタリアン・マフィアのサンティーノの依頼を仕方がなく引き受け、引退を一瞬で撤回することになり、またもや殺し屋の世界に舞い戻ってきたジョン。ターゲットのいるローマにて、まず殺しの下準備をしていくのですが、ここで前作よりもさらに垣間見える殺し屋業界がまた最高です。

銃がズラッと並ぶ“ソムリエ”、スーツの仕立て屋、地図屋など。銃マニアは興奮で死ぬんじゃないか。それくらい濃厚な世界観の見せ方。堪らないです。『キングスマン』っぽいですよね。きっと殺し屋の学校もこの世界にはあるのでしょうね。

さらにこの後の展開で映し出されるアカウント部の存在や殺し屋に情報を伝える手段など、本当に殺し屋がいそうに見えてきます。アカウント部のいかにも事務のおばちゃんが、腕をよく見るとタトゥーがあったりと、普通じゃないのが地味に怖い。

一体、この世界には殺し屋業界従事者は何人いるんだ? 10人に1人くらいはそうなんじゃないだろうか…。相変わらず妄想が捗ります。

鉛筆殺しのお披露目

世界観だけでなく、アクションも間違いなくパワーアップしていた本作。

持ち味のヘッドショット連発の近接ガンアクションと格闘術は、前作以上のスピード感がありました。かつての殺しのスキルが戻ってきている感じがしていいですね。カシアンとのバトルは投げ技&絞め技の応酬で素晴らしい肉体対決だし、アレスとのバトルは刃物でのカッコいいスピード対決でした。どのバトルも最後のジョンの去り際が良いです。

もう、男子中学生が考えたカッコいい戦闘を惜しげもなく映像化してくれているようで、最高じゃないですか。そういえば、アレスを演じた“ルビー・ローズ”のあの手話で会話するあれ、ベタながらあざといぐらい中二病感があっていいと思います。

ちゃんと鉛筆殺しも見せてくれましたね。てっきり喉を「シャッ」とやるか、「ザクッ」やるかくらいだと思ったら、「ズブズブズブ…」なんだなぁ。これは伝説になるのも納得。

ジョン・ウィック チャプター2

契約社員はツライ…

前作の「舐めてたアイツが最強最悪な殺し屋だった」なノリは、オープニングでお終いで、今作は新しい要素で物語が進んでいきます。端的に言うなら「俺、こんな世界は嫌だ」モノです。現代的に言えば「ブラック業界」を描いた映画だったと言っていいのではないでしょうか。

最強と恐れられたジョンですが、そんな彼にも絶対に逆らえないものがありました。それが誓印。殺し屋業界のルールです。このルールに翻弄されていく今回のジョンはスキルは最上ですが、待遇は最低でした。

つまるところ、ジョン・ウィックは契約社員ですよね。お上の会社に理不尽な労働契約を結ばされ、散々こき使われたあげくに、捨てられる。前作のジョンも愛する者を奪われるという悲劇性で観客の親近感を惹きつけましたが、今作のジョンは労働環境に苦しむ人という別の悲劇性で観客に一体感を与える…ストーリーとして非常に上手い作りだと思います。

しかも、前作でジョンが武器にしていたスキル以外の要素、積み上げてきた実績を消し潰すという、ストーリーの発展のさせ方としてはこれ以上ない綺麗な追い込み方。最終的にジョンはコンチネンタルで殺しをしてはいけないというルールを破り、業界から追放されます。前作では、新しい犬を連れて「Let's go home」と言って終わったのですが、今回はその帰るべきホームさえない。ただただ走り去るだけです。

「妻」を失い、代わる愛すべき「命」も失い、思い出の詰まった「愛車」も「家」も失い、さらには殺し屋業界での自身の「キャリア」さえも失ったジョン。もう「スキル」しか残っていない。

全てを失ったジョンが次作でどうするのか…楽しみです。これは“起業”するしかないな…。

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