インビテーション
映画『インビテーション/不吉な招待状』の感想&レビューです。前半はネタバレなし、後半からネタバレありとなっています。

原題:The Invitation 
製作国:アメリカ 
製作年:2015年 
日本公開日:2017年1月28日 
監督:カリン・クサマ 

【個人的評価】
 星 6/10 ★★★★★★
 

あらすじ

ウィルの元に突然、元妻エデン(イーデン)からディナーの招待状が届く。現在の恋人を連れてかつての我が家を訪れると、別人のように陽気なエデンと新しい恋人デイビッド(デビッド)に温かく迎え入れられる。さらに旧友たちも集まって再会を喜びあうが、ウィルは微かな違和感を抱きはじめる。

函館からの招待状

人間不信になりそうな映画ばかり観ていると実生活に影響がでそうなので、「みんな良い人…、みんな良い人…」と心に呪文をかけながら過ごしている…そんな今日この頃。

それでも本作『インビテーション/不吉な招待状』のように、面白い映画と聞きつければ、人間不信になるのもお構いなしに観たくなるのはしょうがない。

本作はシッチェス・カタロニア国際映画祭でグランプリを受賞した作品。この映画祭は主にホラー・スリラー・SFなどいわゆるサブカルっぽい位置づけのジャンル映画を評価する祭典です。過去の受賞作としては、1997年の『ガタカ』、1998年の『キューブ』、2003年の『座頭市』、2004年の『オールドボーイ』、2009年の『月に囚われた男』など、まあ、マニアが絶賛するような個性派映画ばかり。

当然、本作もそういうマニアが歓喜する映画に仕上がっています。内容としては、突然の知り合いからの好意的行動の裏には実はトンデモナイ惨劇が隠されていた…という話であり、最近だと『ザ・ギフト』を連想します。でも、『ザ・ギフト』とは話が全然違う…もっと“アッチ”方向にぶっとんでいく感じです。

監督は“カリン・クサマ”というアメリカ・ニューヨークのブルックリン生まれの女性。なんと父親は北海道・函館出身の日本人だそうですね。自身のボクシング経験をもとに2000年に製作された『ガールファイト』というボクシング映画が長編初作品で、新人賞含む映画賞を多数受賞した人…らしい。私はこの人の作品を観るのは今回の『インビテーション/不吉な招待状』が初めてでした。

↑主演はミシェル・ロドリゲス。

本作もまたネタバレは絶対観てはいけない映画なので、気になる人は、よそ見せずNetflixで配信中ですのでGO。ちなみに、劇場公開時は『インビテーション』、Netflix配信時は『不吉な招待状』という邦題となっていますが、どちらも同じものです。






↓ここからネタバレが含まれます↓





映画界を密かに蝕む闇の正体

映画の冒頭でよくある、動物を車で轢いてしまう場面で幕を開ける本作。

長髪男ウィルが恋人キラを乗せて運転する車が轢いたのはコヨーテ。とても助かりそうにない瀕死のコヨーテに対して、ウィルはレンチで撲殺して安楽死させます。まさにこの「安楽死」が本作のキーワードであり、ウィルたちは「飛んで火にいる夏の虫」ならぬ「飛んで車の前に出るコヨーテ」状態になっていきます。

さて本作は、非常にゆ~~~~っくりなスリラーです。全体の上映時間は100分ですが、80分くらいまでは“事”が起きません。この構成はイマドキのどんどんノンストップで展開しまくるスリラーとは対極的。かなり人を選ぶのではないでしょうか。

それまで不吉なシーンは何度も挟まれますが、それよりもウィルとエデンの禍根ともいえる息子の死を乗り越えていくドラマに焦点をあてるかのような“素振り”をみせます。

それでもやっぱり絶対に変。この不吉な嫌な感じが観てるこっちも落ち着きません。エデンがおかしいのか、いやウィルがおかしいのか? そんな混乱が最終地点に到達した瞬間、惨劇。最終的には「予想を裏切る」展開というよりは「予想どおりにならないと見せかけてやっぱり予想どおりでした」展開といった様相でしたね。

最後の瀕死のエデンを見ていると、とうの昔に彼女の心は瀕死で、安楽死を求めていたのかもしれません。そして、そこに付けこむのがカルトです。

インビテーション

本作の見どころはやはりラストのラスト。このラストの謎の世紀末感は、逆に突き抜けていて爽快とさえ思ってしまいました。

“あの家”での脅威が去り、ほっと一安心と外に目をやったウィルとキラの目に飛び込んできたのは、遠く暗がりの家々に不気味に光る赤いランプ。そして、叫び声、サイレン、ヘリ。

本作の舞台はハリウッドヒルズですけど、カルトの魔の手によってセレブたちは知らぬ間に侵食されている…。しかも、これは案外、フィクションともいえなくて、実際にハリウッドではカルトが流行ってきた歴史があります。詳しく知りたい人は『ゴーイング・クリア サイエントロジーと信仰という監禁』などを観てください。つまり、本作はハリウッドに巣食うカルトの闇をフィクションで描いた皮肉な映画なわけです。

↑「トム・クルーズ…あなたって人は…」
そんな気持ちになるドキュメンタリー。 

「カルトって怖いね…」と思うと同時に、「あれっ、そういえば日本も最近…」なんて思うのでした。

(C)2015 THE INVITATION, LLC