ヒットマンズ・ボディガード
映画『ヒットマンズ・ボディガード』の感想&レビューです。前半はネタバレなし、後半からネタバレありとなっています。

原題:The Hitman's Bodyguard 
製作国:アメリカ 
製作年:2017年 
日本では劇場未公開:2017年にNetflixで配信 
監督:パトリック・ヒューズ 

【個人的評価】 
星 5/10 ★★★★★

あらすじ

殺し屋から対象を守る能力がずば抜けていて、トップクラスのボディガードを任されていたマイケル・ブライス。ある警護任務の最中に大失敗をしでかしたことで、今では個人でさほどやりがいの感じられない中途半端な相手の護衛をしていた。そんなとき、ある人物の警護を頼まれる。その人物こそ、因縁のある殺し屋(ヒットマン)のダリウス・キンケイドだった。

ネタバレなし感想

はい、二人組作って~

異なる立場や性格のもの同士が手を組んで何か目的を達成するために奮闘する「バディムービー」は、内容はお約束的な流れなんですけれども、毎回毎回つい楽しんでしまいます。

バディムービーの一番のお楽しみポイントは、なんといってもどの俳優と俳優がコンビを組むのか。2017年はラ・ラ・ランドで時の人となったライアン・ゴズリングが、全然タイプの違うラッセル・クロウとタッグを組んだナイスガイズ!が実に楽しかったです。正直、エマ・ストーンとよりも、イチャイチャ感があった気がする…。

ところでアメリカ映画界にはもうひとりの「ライアン」がいました。その人とはデッドプールで時の人となった“ライアン・レイノルズ”

こちらの“ライアン・レイノルズ”も、本作『ヒットマンズ・ボディガード』でバディムービーに参戦です。気になるお相手は、“サミュエル・L・ジャクソン”。ラッセル・クロウはとにかく暴力で攻撃的な人ですが、“サミュエル・L・ジャクソン”はトークで攻撃的な人。たいていの出演映画では“口撃”で相手を圧倒します。この組み合わせもなかなか楽しそうではないですか。

本作の監督“パトリック・ヒューズ”『エクスペンダブルズ3 ワールドミッション』を手がけており、あっちはバディどころか大量総出演でしたが、『ヒットマンズ・ボディガード』は『エクスペンダブルズ』と同じで、役者の新しい要素を引き出すのではなく、既存の素材をミックスさせてその化学反応を楽しむことに重点を置いている感じが全面に出ています。

表情と体を張ったスラップスティックなギャグ、そこに口汚いマシンガントークは加わる…ごくごくいつもの“ライアン・レイノルズ”と“サミュエル・L・ジャクソン”が見れます。謎の安心感がありますね。

中身は、1992年のミック・ジャクソン監督の『ボディガード』をパロディにしたポスターが制作されていることからもわかるように、ボディガードとヒットマンのバディが活躍するお話(“ライアン・レイノルズ”と“サミュエル・L・ジャクソン”が恋愛関係になったりはしないです…)。ボディガードなんていらない気もしますが、そこはいいんです。楽しいから。

冒頭10分で本作のノリにハマれば、あとはずっと楽しめます。暇なときに気軽に観るのにオススメのバディムービーです。






↓ここからネタバレが含まれます↓





ネタバレあり感想

「もっと賢い方法があるはずだ」

冒頭から飛ばしてくる本作。日本人の武器商人クロサワの護衛を担当する自信満々のブライスは、目の前でクロサワをあっさり暗殺されてしまい、茫然自失。“ライアン・レイノルズ”の流暢な「お気をつけて」の日本語からのこれですから、私たち日本人にはさらに可笑しく映ります。

対するコテコテのファンキーさを全開に振りまくヒットマンのダリウス・キンケイド。というかもろに“サミュエル・L・ジャクソン”まんまなんですが。こちらは「ビール瓶で頸動脈を切る姿を見て彼女が運命の女だとわかった」とか「Tick-tock, motherfucker!」とか、印象に残るセリフのオンパレード。ゴキブリ呼ばわりされても妻のために行動する姿も一途です。

で、この二人が合わさって繰り出されるギャグ。確かに楽しいです。

でも本作のギャグは面白いは面白いのですけど、若干ワンパターンなのがあれですね。ひたすら罵詈雑言&猪突猛進のキンケイド、レイノルズふっとびギャグ、真正面からのレイノルズ表情ギャグ、BGMぶったぎりギャグ…おおよそこんな感じのが2時間近く交互に続くので、またこのギャグかよ!という気分になってきます。

もう少し映画全体の時間が短くて、ギャグがドラマ進行に合わせて変化すると良かったのですけど…まあ、個人の好みの問題ですね。

でも、エンドクレジットの最後のメイキング映像は一番いい味だしてました。やっぱり、こう、気の抜けた炭酸みたいなノリが最後まで続くのが本作の魅力なんでしょう。

ヒットマンズ・ボディガード

ゴキブリ駆除にしては大惨事すぎない?

気の抜けた炭酸と表現しましたが、アクションは意外とシャキッとしてたのが良かったです。とくにブライス側のバトル。工具店での追ってとの乱闘など、長回し風の戦闘シーンがコミカルさもあいまってとても愉快。ちゃんとキンケイドをボディガードしてるのも、楽しい絵面でした。もちろん、後半のアクションの見せ場であるバイク疾走も良いのですけど。

キンケイドのほうは…無敵すぎてやりたい放題でしたが…。やっぱりボディガード、いらないなぁと思ってしまうほど、強い強い。こうも強いと、あんまりバディを組む意味もないし、実際、ブライスとキンケイドが組んで戦うという展開は少なめなんですが、そこがバディムービーとしてのカタルシスの弱さにつながっているのかも。

しかし、個人的に最大の違和感は終盤。ラストの国際司法裁判所で起こる大惨事は、場所が場所だけに、さすがにコミカルアクションで片づけられるレベルをはるかに超しており、それまで気の抜けた炭酸感覚でいたのに、少し冷や水をぶっかけられるような…。ちょっと作品の方向性が迷子になってる感じもあります。

本作の脚本は“トム・オコナー”が書いたもので、優れた脚本として「ブラックリスト」に選ばれるほどだったそうです。しかも、本来はかなりシリアスなドラマだったというから驚きです。本作を観ればわかるように、出来上がった映画はだいたい5割がコメディ、3割がコメディ風アクションみたいな感じでした。要するに全面的に映画のタッチが一新されているんですね。こうなってくると、元の脚本がどんななのか気になります。推測ですけど、原作脚本は起こる事態にマッチしたドラマがあったんでしょうね。

次は誰がコンビを組むのかな?

©Netflix