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『ヒットマンズ・ボディガード』感想(ネタバレ)…守りたい、このサミュエル

ヒットマンズ・ボディガード

守りたい、このサミュエル…映画『ヒットマンズ・ボディガード』の感想&レビューです。前半はネタバレなし、後半からネタバレありとなっています。

原題:The Hitman’s Bodyguard
製作国:アメリカ(2017年)
日本では劇場未公開:2017年にNetflixで配信
監督:パトリック・ヒューズ

ヒットマンズ・ボディガード

ひっとまんずぼでぃがーど
ヒットマンズ・ボディガード

『ヒットマンズ・ボディガード』あらすじ

殺し屋から対象を守る能力がずば抜けていて、トップクラスのボディガードを任されていたマイケル・ブライス。ある警護任務の最中に大失敗をしでかしたことで、今では個人でさほどやりがいの感じられない中途半端な相手の護衛をしていた。そんなとき、ある人物の警護を頼まれる。その人物こそ、因縁のある殺し屋(ヒットマン)のダリウス・キンケイドだった。

『ヒットマンズ・ボディガード』感想(ネタバレなし)

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はい、二人組作って~

異なる立場や性格のもの同士が手を組んで何か目的を達成するために奮闘する「バディムービー」は、内容はお約束的な流れなんですけれども、毎回毎回つい楽しんでしまいます。

バディムービーの一番のお楽しみポイントは、なんといってもどの俳優と俳優がコンビを組むのか。2017年は『ラ・ラ・ランド』で時の人となったライアン・ゴズリングが、全然タイプの違うラッセル・クロウとタッグを組んだ『ナイスガイズ!』が実に楽しかったです。正直、エマ・ストーンとよりも、イチャイチャ感があった気がする…。

ところでアメリカ映画界にはもうひとりの「ライアン」がいました。その人とは『デッドプール』で時の人となった“ライアン・レイノルズ”

こちらの“ライアン・レイノルズ”も、本作『ヒットマンズ・ボディガード』でバディムービーに参戦です。気になるお相手は、“サミュエル・L・ジャクソン”。ラッセル・クロウはとにかく暴力で攻撃的な人ですが、“サミュエル・L・ジャクソン”はトークで攻撃的な人。たいていの出演映画では“口撃”で相手を圧倒します。この組み合わせもなかなか楽しそうではないですか。

本作の監督“パトリック・ヒューズ”『エクスペンダブルズ3 ワールドミッション』を手がけており、あっちはバディどころか大量総出演でしたが、『ヒットマンズ・ボディガード』は『エクスペンダブルズ』と同じで、役者の新しい要素を引き出すのではなく、既存の素材をミックスさせてその化学反応を楽しむことに重点を置いている感じが全面に出ています。

表情と体を張ったスラップスティックなギャグ、そこに口汚いマシンガントークは加わる…ごくごくいつもの“ライアン・レイノルズ”と“サミュエル・L・ジャクソン”が見れます。謎の安心感がありますね。

中身は、1992年のミック・ジャクソン監督の『ボディガード』をパロディにしたポスターが制作されていることからもわかるように、ボディガードとヒットマンのバディが活躍するお話(“ライアン・レイノルズ”と“サミュエル・L・ジャクソン”が恋愛関係になったりはしないです…)。ボディガードなんていらない気もしますが、そこはいいんです。楽しいから。

冒頭10分で本作のノリにハマれば、あとはずっと楽しめます。暇なときに気軽に観るのにオススメのバディムービーです。

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『ヒットマンズ・ボディガード』を観る前のQ&A

Q:『ヒットマンズ・ボディガード』はいつどこで配信されていますか?
A:Netflixでオリジナル映画として2017年8月25日から配信中です。
日本語吹き替え あり
落合弘治(ブライス)/ 石井康嗣(キンケイド)/ 藤田奈央(アメリア)/ 浅野まゆみ(ソニア)/ 安原義人(デュコビッチ)/ 魚建(フーシェ)/ さかき孝輔(レビチン)/ 森本73子(カソリア)/ こばたけまさふみ(イバン)/ 斎藤寛仁(モレノ)/ 谷内健(シーファート) ほか
参照:本編クレジット
↓ここからネタバレが含まれます↓

『ヒットマンズ・ボディガード』感想(ネタバレあり)

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あらすじ(前半):お前だけはガードしたくない

リッチな邸宅から出社する男。彼の仕事はボディガード。マイケル・ブライスにとって最高にふさわしい職業です。

今日は日本の武器商人であるクロサワの護衛を担当し、安全に空港に到着。プライベートジェットまでエスコート。「お気をつけて」とおじぎ。

モットーは「退屈が一番」。今日も平穏にスマートに。

完璧。そう思った瞬間、クロサワは頭部を撃たれ即死。完璧な男の仕事はここで潰えたのです。

2年後。茫然自失で覇気もなく、こすった痕が残る車から降りるブライス。シーファートを出迎えます。依頼人を守り切れなかったブライスは一線を退き、自意識過剰な会社社長の護衛をすることで生計を立ているのでした。あちこちにいた危険人物は殲滅済みですし、プラスチック爆弾も把握済み。自分の車に乗せ、出発。実力は衰えていません。

一方、国際司法裁判所ではある男の裁判が行われようとしていました。旧ソ連、ベラルーシで独裁者として君臨していたヴラディスラフ・デュコビッチ。邪魔者を情け容赦なく従わせ、排除する冷酷さ。その犠牲になったアシモフ教授は3年間拘束された経験を語ります。しかし、当人はデマカセに過ぎないと一切の起訴を証拠不十分として拒否。しかも証人はどんどん姿を消しているのです。

これでは裁判できないので、困った国連は奥の手に出ました。インターポールの高官であるジャン・フーシェは、ヒットマンとして悪名高いダリウス・キンケイドを、妻の釈放と寛大な処遇を餌に利用しようとします。「ソニアを自由にしてくれ」とキンケイドはあっさりサインしました。

ハーグへ護送されることになり、アメリア・ルーセル捜査官が任せられます。車両3台で移動。しかし、街中の道路で爆発。護送車は横転。周囲に潜んでいた襲撃者に撃たれていきます。

なんとか反撃するも敵の勢いは強く、多勢に無勢。ルーセルだけでは防ぎきれません。しかし、銃を手にしたキンケイドの活躍もあって敵を一掃。足を撃たれたキンケイドでしたが、ルーセルは共に行動することに。

インターポール内部にスパイがいるとキンケイド。迷ったルーセルは嫌々ながらもある男に連絡します。それはブライス。元夫です。

インターポール留置所ではソニアはキンケイドから電話を受けます。「誰のせいでこんなブタ箱にいると思っているんだ!」…とりあえずソニアは元気そうです。

ブライスが到着。要人の護送を依頼するも、口論に発展。依頼人の名をルーセルに漏らしたのが過去の失敗の原因とブライスは考えているようです。

しかし、キンケイドと対面した瞬間、戦闘状態に入る2人。「このときをどれだけ待ったと思っている」とキンケイド。でもキンケイドは血を流しすぎて倒れます。

因縁の2人。本当に大丈夫なのか。

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「もっと賢い方法があるはずだ」

冒頭から飛ばしてくる『ヒットマンズ・ボディガード』。日本人の武器商人クロサワの護衛を担当する自信満々のブライスは、目の前でクロサワをあっさり暗殺されてしまい、茫然自失。“ライアン・レイノルズ”の流暢な「お気をつけて」の日本語からのこれですから、私たち日本人にはさらに可笑しく映ります。

対するコテコテのファンキーさを全開に振りまくヒットマンのダリウス・キンケイド。というかもろに“サミュエル・L・ジャクソン”まんまなんですが。こちらは「ビール瓶で頸動脈を切る姿を見て彼女が運命の女だとわかった」とか「Tick-tock, motherfucker!」とか、印象に残るセリフのオンパレード。ゴキブリ呼ばわりされても妻のために行動する姿も一途です。

で、この二人が合わさって繰り出されるギャグ。確かに楽しいです。

でも本作のギャグは面白いは面白いのですけど、若干ワンパターンなのがあれですね。ひたすら罵詈雑言&猪突猛進のキンケイド、レイノルズふっとびギャグ、真正面からのレイノルズ表情ギャグ、BGMぶったぎりギャグ…おおよそこんな感じのが2時間近く交互に続くので、またこのギャグかよ!という気分になってきます。

もう少し映画全体の時間が短くて、ギャグがドラマ進行に合わせて変化すると良かったのですけど…まあ、個人の好みの問題ですね。

でも、エンドクレジットの最後のメイキング映像は一番いい味だしてました。やっぱり、こう、気の抜けた炭酸みたいなノリが最後まで続くのが本作の魅力なんでしょう。

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ゴキブリ駆除にしては大惨事すぎない?

気の抜けた炭酸と表現しましたが、アクションは意外とシャキッとしてたのが良かったです。とくにブライス側のバトル。工具店での追ってとの乱闘など、長回し風の戦闘シーンがコミカルさもあいまってとても愉快。ちゃんとキンケイドをボディガードしてるのも、楽しい絵面でした。もちろん、後半のアクションの見せ場であるバイク疾走も良いのですけど。

キンケイドのほうは…無敵すぎてやりたい放題でしたが…。やっぱりボディガード、いらないなぁと思ってしまうほど、強い強い。こうも強いと、あんまりバディを組む意味もないし、実際、ブライスとキンケイドが組んで戦うという展開は少なめなんですが、そこがバディムービーとしてのカタルシスの弱さにつながっているのかも。

しかし、個人的に最大の違和感は終盤。ラストの国際司法裁判所で起こる大惨事は、場所が場所だけに、さすがにコミカルアクションで片づけられるレベルをはるかに超しており、それまで気の抜けた炭酸感覚でいたのに、少し冷や水をぶっかけられるような…。ちょっと作品の方向性が迷子になってる感じもあります。

本作の脚本は“トム・オコナー”が書いたもので、優れた脚本として「ブラックリスト」に選ばれるほどだったそうです。しかも、本来はかなりシリアスなドラマだったというから驚きです。本作を観ればわかるように、出来上がった映画はだいたい5割がコメディ、3割がコメディ風アクションみたいな感じでした。要するに全面的に映画のタッチが一新されているんですね。こうなってくると、元の脚本がどんななのか気になります。推測ですけど、原作脚本は起こる事態にマッチしたドラマがあったんでしょうね。

次は誰がコンビを組むのかな?

『ヒットマンズ・ボディガード』
ROTTEN TOMATOES
Tomatometer 43% Audience 67%
IMDb
6.9 / 10
シネマンドレイクの個人的評価
星 5/10 ★★★★★
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関連作品紹介

続編の感想記事です。

・『ヒットマンズ・ワイフズ・ボディガード』

©Netflix ヒットマンズボディガード

以上、『ヒットマンズ・ボディガード』の感想でした。

The Hitman’s Bodyguard (2017) [Japanese Review] 『ヒットマンズ・ボディガード』考察・評価レビュー