デスノート Light up the NEW world
映画『デスノート Light up the NEW world』の感想&レビューです。前半はネタバレなし、後半からネタバレありとなっています。

原題:デスノート Light up the NEW world
製作国:日本 
製作年:2016年 
日本公開日:2016年10月29日 
監督:佐藤信介 

【個人的評価】
 星 2/10 ★★
 

あらすじ

名前を書かれた人間は必ず死亡する「デスノート」によって凶悪犯たちを次々と死に追いやった「キラ」こと夜神月と、世界的名探偵「L」の壮絶な頭脳戦から10年。死神が人間界に再びデスノートをばらまき、大混乱に陥った世界で、デスノート対策本部は事態を収拾しようとする。


どこまで続くの、デスノート交換日記

今、なにかと日本の政治の世界で話題の「共謀罪」。適用要件が火種に議論されているようですが、そのニュースを聞いて思い出したのが『デスノート』シリーズでした。共謀罪の適用要件に「デスノートを持っている」を真っ先に挙げておくべき…なんていうつまらない冗談を思いついたけど、どうでもいいですね。『デスノート』シリーズの世界に共謀罪はそもそも存在しないのだし…。

いや、最新作である『デスノート Light up the NEW world』を観るかぎり、もうこの世界は共謀罪うんぬんどころではないそれ以前の致命的な問題点を抱えている…そんな気もしてくる…。

『デスノート』シリーズは、非常に有名なタイトルになったので聞いたことがない人は少ないでしょうし、改めて語るまでもないでしょう。私が初めて知ったときは「ノートに名前を書かれたら死ぬ」なんて、アバンギャルドな設定だなと思ったものです。なんか子どものとき自分の考えた世界観をノートに書いていたという黒歴史を思い出す…(みんな、やるよね?)。今になって思えば、たぶん子どもにとって「ノート」は数少ないプライベート空間なんだと思います。

つまり、この作品のデスノートの使い手は“子どもの心をいつまでも持っている”ということですね。なんだ、良いやつじゃないか…。

そんな漫画原作の『デスノート』シリーズは、『デスノート』(2006年)、『デスノート the Last name』(2006年)、『L change the WorLd』(2008年)と立て続けに映画化されてきました。

そして、まさかのさらなる続編です。「えっ、まだやるの?」と思ったけれども、世界的にも通用するブランド力のある日本作品ですから、頼ってしまったのかな…。このまま日本でもハリウッドみたいな名作の続編ブームが到来するのか…やや不安な一作ではあります。






↓ここからネタバレが含まれます↓





見た目は頑張ってる

巷の映画好きな人の評価では「駄作」「残念作」「問題作」と散々なみたいな本作。

誤解なきように言っておくと、決して映画の“ルック”(表面的な雰囲気)は悪くない、むしろ健闘しているほうだと私は思います。

まず、安っぽい絵にはなっていないです。群集シーンや舞台のセットもちゃんと作り込まれていて、お金と労力がかかっていることを感じさせてくれるし、何より死神たちの造形は素晴らしかった。前作よりも月日が経ってCGの技術が向上していることもあり、実写の俳優と違和感なく混ざっていました。とくに竜崎が死神アーマからマスカットを一粒取り上げる場面とか、私は本作のベストシーンだと思っているくらい。マスカットのTVCMに使っていいレベルです(えっ)。

あと、ロシアとアメリカのシーンもあって、ちゃんと「グローバルな展開を見せてやるぜ!」という“シャドーボクシング”くらいはできていたように感じました。

あえて残念だった映像は、冒頭のデスノートがヒューと落ちてくるシーンで始まるところですかね。かなりシュール…ギャグ漫画みたい。というか、あんな風に物理的に落ちてくるものだったの!?

話運びも丁寧で、この手のサスペンスにしてはかなりわかりやすいです。まあ、これも説明セリフが多く、途中で要点を主要登場人物がまとめて整理してくれるからなんですが。

デスノート Light up the NEW world

ルールのわからないスポーツ

そうした表面的な良い部分を雲散霧消にしてくれるのが、本作の中身のボロボロ具合です。

大きいところから小さいところまでツッコミどころが多すぎるのは言うまでもなく、きっと他のサイトとかが散々書いてるのでしょうから、割愛。

私が本作で一番問題だと思ったのは「ルールがわからないこと」。この世界観ではデスノートにまつわる様々な“利用規約”があるわけで、とくに今回は「地上に存在できるデスノートは6冊までで、7冊目以降だと効力はない」というルールが肝になってきます。そして、他にもルールはあって、それらを駆使して騙し合いが行われるのが基本の流れ。

ところが、全てのルールの内容は明かされないんですね。劇中でも死神が言ってました。「デスノートのルールはいくつ存在するのか、それは死神にもわからない 」と。

つまり、ルールがわからないなかの探り探りの心理戦がこの作品の面白さです。少なくとも初期作はそうなってました。

しかし、本作は三島といい、竜崎といい、紫苑といい、「俺、詳しいですよ」オーラ全開の奴が最初から多すぎるのです。実際はルールなんて全部わかってないのに、すごく余裕ぶっこいてる。だから、滑稽に見えます。まるでプレイヤーさえもルールがわかっていないスポーツで「俺はプロだ!」と名乗っているようなもの。

ただでさえ、厳密なルールをともなうスリラーものは続編が難しいのに、本作はそこを安易に扱いすぎたため、心理戦ではなく、ご都合主義的な展開に終わってしまった…なんとも残念な続編でした。

もし、さらに続編をするなら、デスノートの一件でノート関連の持ち物検査や検閲が厳しくなっているとか、市民が顔を出さずに外出するのが日常化しているとか、もっと世界観にも気を付けてほしいところです。もちろん、心理戦をちゃんとするという前提ですが…。

アメリカでも実写映画化が進んでいる『デスノート』。そっちはちゃんと心理戦をやるのかな?

(C)大場つぐみ・小畑健/集英社 (C)2016「DEATH NOTE」FILM PARTNERS