デッドプール2
映画『デッドプール2』の感想&レビューです。前半はネタバレなし、後半からネタバレありとなっています。

原題:Deadpool 2 
製作国:アメリカ  
製作年:2018年 
日本公開日:2018年6月1日 
監督:デヴィッド・リーチ 

【個人的評価】
 星 7/10 ★★★★★★★

Plot Summary

最愛の恋人ヴァネッサを取り戻し、お気楽な日々を送るデッドプールの前に、未来からやってきたマシーン人間のケーブルが現れる。ヴァネッサの希望を受けて良い人間になることを決意したデッドプールは、ケーブルが命を狙う謎の力を秘めた少年を守るため、特殊能力をもったメンバーを集めたスペシャルチーム「Xフォース」を結成するが…。

ネタバレなし感想

2作目で変わったこと、変わらないこと

2016年のアメコミ映画の様子を覚えているでしょうか。この年の初っ端から『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』が公開され、残念ながら批評的には大コケし、続く同年の『スーサイド・スクワッド』といいDC映画没落の始まりでもありました。またシリーズの集大成として持ち上げられていた『X-MEN:アポカリプス』もイマイチな盛り上がりで終わってしまいました。

つまり、量産されるアメコミ映画に対して世間は「似たようなものばっかだな…」とか「シリアスな葛藤とかはもうね…」みたいな雰囲気になっていたとも言えます。そんな空気の中で、しっかり作品の個性を発揮していたのは御多分に漏れずマーベル映画くらいだったのでしょう。

しかし、そこに旋風を巻き起こした新顔が『デッドプール』でした。そのスタイルは徹底的にふざけ倒すことであり、そのシリアスとは真逆のテンションにたぶん観客もスッキリしたのではないでしょうか。製作規模に対して予想を超える大ヒットを達成しました。
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その続編となる本作『デッドプール2』。以前の私の感想では「次はきっと予算大幅アップしてバトルもド派手になること間違いなし」と書いたのですけど、実際に予算が5800万ドルから1億1000万ドルに大増量して、キャラも増え、完全に20世紀フォックスのアメコミ映画の顔になった感じです。もう少しデッドプールのポテンシャルに早く気づいていたら、ディズニーに買収されずに済んだかもしれないのに…。

ところが今回の『デッドプール2』は、1作目の時とは状況が違います。

もう観客はヴァージンではないのです。1度「デッドプール」という刺激を体験し、さらに以降似たようなコミカル路線大作も増えてしまった時代…何度も同じ奴とヤッて楽しいのかという話です(作品に引きずられて文章がアダルト路線になっています。ご了承ください)。

しかも、前作の監督であるティム・ミラーは“創造性の違い”によって離れてしまったのですから。こんなの人気トップの娘がいない風俗店のような(以下、略)。

でも、大丈夫。私たちには“ライアン・レイノルズ”がいる。もはやこのシリーズは彼の所有物といっても過言ではないし、今作でも主演・製作・脚本ともに仕事しまくり。だから作品自体はぶれていません。もしかしたら「デッドプール」は数十年後に別の役者でリメイクとかされるかもしれないけど、このライアン・レイノルズ版は永遠に語り継がれる基盤になるでしょうね。

また、日本人としては“忽那汐里”の出演にも注目したいところ。モブとかではなくて、ちゃんとヒーローポジションで登場しています。近年は『アウトサイダー』など海外の活躍が目立ちますが、このまま勢いに乗ってほしいです。
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そんなこんなで今回もデップーに付き合ってあげてください。

鑑賞前のおすすめ PiCKUP!
↑1作目の『デッドプール』。愛の話です。





↓ここからネタバレが含まれます↓





ネタバレあり感想

子犬は殺さないけど

私たちには“ライアン・レイノルズ”がいると書きましたけど、今回、頼もしい存在が製作陣に加わっているのを忘れていました。その人とは「子犬を殺したやつ」こと本作の監督“デヴィッド・リーチ”『ジョン・ウィック』『アトミック・ブロンド』とアクション映画の急先鋒になる作品を次々と生み出し、今やハリウッドのアクションの先駆者となっている人物です。
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鑑賞してみてあらためて実感しましたが、“デヴィッド・リーチ”監督とデッドプールは相性抜群でした。そもそも『ジョン・ウィック』の時点で結構コミカルな作風がチラリと顔を覗かせていました。なので、今回の『デッドプール2』ではユーモア&グロで味付けしまくったアクションを好き放題できて、実に楽しかったろうなということが映像から伝わってきます。

序盤からアクション全開です。ワールドツアーと称して世界各地で暴れまわって、日本まで出してくれたことは嬉しかったし、お得意の長回しも交えながら、デッドプールらしいスタイリッシュな戦闘を披露していってくれて眼福。集団乱闘戦はもちろん、収容施設や輸送トラックなどの狭い空間でのアクションで多々見られる、数珠繋ぎ式で連鎖反応のように予測不可能に展開するアクションは純粋に楽しいです。そういう意味ではデッドプールの不死という特性を活かした、例えばボッキボキに折れた腕を使って相手の首を絞めたり、はたまたドミノの強運の特性を駆使した、ラッキーな出来事の連続とか、ミュータントらしい戦闘スタイルを既存のアクションに組み込むのが上手いなと。これまでの「X-MEN」映画のアクションは、VFXを使って大技を見せてドヤ顔するみたいなものが多かった気がしたので、今作のバランスは理想形でした。

前作のようにグロ・下ネタや第4の壁ネタだけで押し通すことをしていたら、きっとマンネリとして評価を下げたであろう2作目ですが、“デヴィッド・リーチ”監督のおかげで普通に、いやそれ以上に面白いアクション映画になっていました。“デヴィッド・リーチ”監督はこれからもアメコミ映画に参加してほしいな…。

ちなみに、本作では、ドミノ役のスタントを務めていたスタント・パーソンのジョイ"SJ"ハリスがの撮影中にバイク事故で亡くなったそうで、そういう犠牲の上に成り立っているアクションだということは記しておきたいと思います。

デッドプール2

デッドプール風“疑似家族”

それでもって、メインのドラマ面ですが、1作目は純情なラブストーリーで、2作目となる今作はデッドプールがクドイくらい言っているようにファミリー映画になっています。

最近は“疑似家族”ものがすっかり世界的に流行で、『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』や『万引き家族』など評価の高い作品はこの題材ばかり。その中でまさかデッドプールまで“疑似家族”でくるとは…

最初に最愛のヴァネッサを殺されて復讐に燃えていくくだりは『ジョン・ウィック』で見たやつですが、犯人はさっさと殺してしまうため、残ったのは虚無感。そして、デッドプールはX-MEN
、ラッセル、ケーブルを通して、自分なりの家族を見つけていく…こう書くとと凄く綺麗な美談なんですが、実は彼はパンセクシュアリティ(全性愛)という設定なので、なんかもうこの家族観さえも何でもありなんですよね。今作ではコロッサスとのカップリングが成立したといっても過言ではないでしょう。おめでとう、コロッサス。

ネガソニック・ティーンエイジ・ウォーヘッドとユキオのカップルも素敵でした。ネガソニックを演じた“ブリアナ・ヒルデブランド”自身も同性愛者なので、自然な感じ。「デッドプール」シリーズは恋人たちの描写がナチュラルで意外にいいです。まあ、でもやっぱり「2」はコロッサスだね。

サノスも友達

もちろんギャグも良かったです。いちいち言及すると疲れるくらいですが、冒頭の『LOGAN ローガン』いじりに始まり、マーベル、DC、ディズニーまでなんでもござれ。“ジョシュ・ブローリン”とラッセルというぽっちゃり男の子のコンビから連想しているであろう『グーニーズ』ネタが多めだった気もする。一番アホだなと思ったのは、デッドプールが募集して集めたチームメンバーのひとりの透明能力の使い手「バニッシャー」を演じているのが、なんとあの“ブラッド・ピット”だということ。わかんない! 一応、一瞬、生身が映るけど、なんという無駄使い!

でも個人的には、「ブラウンパンサー」ことタクシー運転手のドーピンダーがなぜか一番好きかも。あのインド訛りの英語が可愛いです。

気になる3作目ですが、ここまで順当にバージョンアップしてくれたらもう心配いらないかな。今作で物足りないのは、あれだけチーム感を予告で出しておきながら実際は出オチで終わったので、ぜひ3作目はチームバトルを見せてほしい。

よし、じゃあ、誰かWikipediaの「ライアン・レイノルズ」のページに書かれている出演作品から『グリーン・ランタン』を消すんだ。責任はとらない(ただの荒らしです)。 

おすすめ PiCKUP!
↑『グーニーズ』は、ジョシュ・ブローリンの映画デビュー作。
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