ベイウォッチ
映画『ベイウォッチ』の感想&レビューです。前半はネタバレなし、後半からネタバレありとなっています。

原題:Baywatch 
製作国:アメリカ 
製作年:2017年 
日本では劇場未公開:2017年にDVDスルー 
監督:セス・ゴードン 

【個人的評価】
 星 5/10 ★★★★★

あらすじ

ベイウォッチ(水難監視救助隊)を率いる熱血ライフガードのミッチ・ブキャナンは、元オリンピックメダリストの生意気な新人マットの扱いに苦労していた。そんなある日、小型船が炎上しているとの情報が入り現場に駆けつけた彼らは、船内で不審な遺体を発見する。

ネタバレなし感想

バカに考察は必要ない

映画の楽しみ方の一つに「考察」というものがあります。

伏線がここにある…とか、物語にはこんな製作者の意図が込められているのではないか…とか、このアイテムは“あれこれ”を暗示しているのだ…とか、まあ、いろいろ考えるのは楽しいものです。このブログでも私の感想を書き垂れていることがあります。私の幼稚な考察もどきはさておき、他人の考察を読んだり聴いたりするのも楽しく、自分では気づかない映画の面白さの発見ができて良いものです。

しかし。世の中の映画は全てが考察できるとは限りません。

それどころか「考察? 何それ、美味しいの?」くらいの「“考察の余地なし”な映画」もあります。私も「必ず映画は考察しなくてはいけない」「考察できる映画を作らなければいけない」とは全然思っていませんし、考察するのも時には疲れますから、“考察の余地なし”映画はオール・ウェルカムです。

そんな考察とか全く考えなくていい、頭の中を空っぽにして楽しめる映画が、本作『ベイウォッチ』です。

水難監視救助隊(日本ではライフガードとかライフセーバーと呼ばれる職業の人)が主人公の作品で、アメリカで1989年から2001年にかけて放送されたテレビドラマシリーズの映画版ということですが、キャストが一新されているのでリメイクですね。

その水難監視救助隊のリーダーとなるメイン主人公が、テレビドラマでは“デビッド・ハッセルホフ”だったのですけど、本作では“ドウェイン・ジョンソン”に代わりました。

“ドウェイン・ジョンソン”といえば、近作では『カリフォルニア・ダウン』で、レスキュー隊員なのに妻と娘を助けるために本来の仕事を投げ出して私的な理由で行動、筋肉の力で救う男を熱演。また、モアナと伝説の海では筋骨隆々の肉体を持つ風と海を司る半神半人マウイの声を担当。まさに「海で人を救う職業」ならコイツしかいない人選…勝ったも同然です(何と戦っているのだろうか)。本作の役柄も“ドウェイン・ジョンソン”そのまんま。

↑『カリフォルニア・ダウン』が好きなら『ベイウォッチ』も気に入るよ(テキトー)。

他の救助隊のメンツもですね、“ザック・エフロン”が演じる、元オリンピック選手だけど性格が残念イケメンな細マッチョ男。“ケリー・ローバック”が演じる、なぜか巨乳を惜しげもなく披露しながらビーチを守り、若干こちらも頭が残念な美女。『カリフォルニア・ダウン』で“ドウェイン・ジョンソン”の娘役でやたら胸が目立っていた“アレクサンドラ・ダダリオ”が演じる、ここでもおっぱいネタを投入してくる新米女。さらに、典型的なギークで童貞・小太り・なぜか頭はそこまで良くないけど体力はある新米男(演じているのはラビング 愛という名前のふたりでコミカルな雰囲気を漂わす法律の専門家を演じていた“ジョン・ベース”)。

つまり、バカしかいないわけです。脳みそがカリフォルニア・ダウンしているような奴らばかりです。そのバカたちがバカやりながら人を救ってなぜか巨悪まで倒しちゃう…実に都合のいい話ですよ。

でもそれでいいんです。さあ、バカになりたい人、本作を観ましょう。






↓ここからネタバレが含まれます↓





ネタバレあり感想

8割クールで3割イケてる

冒頭、走る“ドウェイン・ジョンソン”からのスタイリッシュ救助、そして海からタイトルロゴがドーン! くそ、出だしからバカ全開じゃないか!

本作のギャグのメインは下ネタと筋肉ネタ。

下ネタは、おっぱい、おっぱい、チ〇コ、おっぱい、チ〇コ、チ〇コ、おっぱい…こんな感じのローテーション。男も女も下ネタに遠慮なしです。サマーを演じた“アレクサンドラ・ダダリオ”は自分からおっぱいぷるんぷるんさせてましたけど、あなたのキャリア的にそれでいいのと若干心配にならなくもない…。

筋肉ネタは、ベイウォッチ試験でのミッチとマットの度が過ぎる筋肉勝負がとにかくアホ。陸上での筋肉アピールはいいから泳げよ!と誰かツッコまないのかな…。というか、あの試験、意味あったのかというそもそもの疑問がありますけど…。

笑うを通り越して感心したのは、ミッチが病院に潜入したとき、最初に白衣を着ようとしてビリッとなるシーン。当たり前のように服が着れないギャグを自然に挟み込んでくる…この“ドウェイン・ジョンソン”の扱いをわかっている感じがいいですね。

セリフも実にバカ揃いでした。

「8割クールで3割イケてる」
「グッピーからサメになれ」
「ウニに刺されると怪力を発揮する」
「ローションまみれの毛のないゴリラみたい」
「俺は海水の小便をする」

なんだろう、この知能指数の低さ。同じ人間なのかな。

でも、これらバカさは作り手はわかってやっているのが本作。例えば、とにかくやたらと救助シーンはスローモーションでバックにカッコいい音楽を流しとけばいいというノリですが、ラストでもスローモーションをメタなギャグにしているんですね。

全力でアホなことしてやろうじゃないかという作り手の本気(「本気」とかいて「バカ」と読む)が伝わってきます。バカ映画だけど真面目なバカ映画なのです。

ベイウォッチ

真のバカ映画になれていない部分

まあ、そうは褒めましたが、このバカさ部分にもここはちょっとなぁ…と思うところも要所要所にあって。

まずCG映像。前半の船上火災シーンなどCGが大きく導入されている場面がいくつかありますが、そのCG、しょぼいなぁと。ミッチは炎も煙も何のその、というか汗さえ一切かいてないんですが、もうあとからCG足しました感MAX。いくらコメディ映画といえども、こういうリアリティは妥協なくやってほしいですよね。この映画、製作費6900万ドルもかかっているらしいですから、できるでしょうに。

アクションもやや残念でした。せっかくアホすぎる筋肉勝負を見せてくれたのだから、ちゃんとその筋肉で強引に解決するド派手アクションが欲しかったです。花火の派手さじゃなくて、筋肉の派手さが欲しいんですよ。

ストーリーも後半になると勢いがダウンするというか、シリアスなパートが増え、潜入シークエンスが場所を変えて何度も挿入されるため、ワンパターン化してきます。前半の勢いが良かっただけに、ここも残念です。伏線としてもっと活かしてほしかったアイテムもちらほらありましたし、脚本はさらにブラッシュアップできたはず。

あとギャグも、死体ギャグだけはすべきじゃなかった気がします。一応、命を救う職業なわけですし、あんな死体をもてあそぶ姿を見せられると、レスキューに対するこの主人公たちの真剣度がどんどん疑わしくなります。ラストカットはいつもの仕事風景で人を助けに行くぞ!な感じで終わらせてほしかったかな。

真の真面目なバカ映画になれてない、水難監視救助隊としてはまだまだグッピーだな…!(偉そうに)

続編に期待ということで。“デビッド・ハッセルホフ”の出番は増えるのかな…?

©Paramount Pictures.