ニンジャバットマン
映画『ニンジャバットマン』の感想&レビューです。前半はネタバレなし、後半からネタバレありとなっています。

原題:ニンジャバットマン 
製作国:日本・アメリカ  
製作年:2018年 
日本公開日:2018年6月15日 
監督:水崎淳平 

【個人的評価】
 星 5/10 ★★★★★

Plot Summary

いつものようにゴッサム・シティで悪事に手を染めるヴィランを追い詰めていたバットマン。しかし、ある装置の力によって日本の戦国時代にタイムスリップしてしまう。そこでは歴史改変をもくろむジョーカーをはじめとした悪党たちが待ち構えていた。現代の最新テクノロジーから切り離されてしまったバットマンは仲間たちとともにこの未曽有の事態を乗り越えられるのか…。

ネタバレなし感想

忍者?戦国?それは本題ではない

控えめに言っても“絶不調”なDCアメコミ映画。ここまで落ちぶれていくとさすがに可哀想になってきます。もはや頼みの綱は『ワンダーウーマン』だけ。でも、ほら、バットマンも何かの作品で「人はなぜ堕ちる? 這い上がるためだ」ってセリフを口にしてましたから…。今がどん底。これから上がっていくよね(精一杯の励まし)。

そんな全体が上手く揃わないDCアメコミ実写映画たちですが、DCは実写だけではありません。ドラマシリーズはそれなりに続いているし、最近だとCGアニメの『レゴバットマン ザ・ムービー』という変わり種がヒットしました。
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しかし、意外に忘れられがちなのがDCのアニメシリーズ。その名も「DC Animated Movie Universe」と呼ばれ、実はすでにかなりの作品数を積み重ねており、こちらは批評的にもそこそこです。案外、これらアニメを見ている方が世界観を楽しめるかもしれません。

そんなDCアニメの中でもイレギュラーな一作として登場したのが本作『ニンジャバットマン』です。

製作は主に日本勢が担当し、その内容もバットマンが戦国時代にタイムスリップしてしまうという、完全に同人誌レベルのアイディアを公式で映像化しちゃいました!なノリ。「DC Animated Movie Universe」とは別のようですが…。

そして、気になる評価ですが、これが…大荒れです。どちらかと言わなくても「否」が多めです。先行して公開された海外では、もうなかなか見ごたえのある“感想”が飛び交っています。

それを具体的に語るのは「ネタバレあり感想」でするとして、なぜこんなことになったのかというと、この映画、あるとんでもない隠し玉を持っていたのです。おそらく鑑賞前は「バットマンが戦国時代で忍者っぽく活躍するんでしょ?」とか思っているでしょうし、私もそう安易に考えていたのですが、実際は想像の右斜め上です。忍者映画ではありません。戦国時代とかも割とどうでもよくなってきます。〇〇映画なんです。だから荒れているのです。

この作品は、絶不調なDCアメコミ映画界隈に対して、さらなるどん底を更新してくれることで、相対的に他の実写が良いものに見えてくる…そんな自己犠牲を示しているのかもしれない。ありがとう、ニンジャバットマン…。

ということで、未知の異物を見たい方、必見。ちなみに私は嫌いじゃありません!






↓ここからネタバレが含まれます↓





ネタバレあり感想

「待て、私は怪しいものではない」

はい、ではまず本作を鑑賞した海外の人々の感想コメントが実に面白かったので、ほんの一部を抜粋して紹介したいと思います。
トランスフォーマーだった。

パワーレンジャーだった。

アートワークは素晴らしい。でもどうなってるの!

観る前:昔の日本を舞台にしたアニメのバットマン? クールだね。観た後:オーマイガー…。

馬鹿々々しいけど、嫌いじゃない。

最悪のバットマン・アニメになってしまったことを信じたくない。

これまでのDCアニメーションのことが頭から吹き飛んだ。

このアイディアを考えた人は解雇されるべきです。

DCはどうして自爆するのが上手いのか。

きっと楽しめる。DCファンでなければ。

そうか、これは5歳児向けの作品だったんだ。

ベン・アフレックに飽きてしまった、あなたへ。

ジョーカーが書いたシナリオなんだよね、これ。

よし、マーベル、どうしたら良くなるか教えてくれ。
困惑しているコメントの大半の原因は、本作を観たのであれば簡単に察しがつくでしょう。ええ、あれです、「ロボット」です。

冒頭、5分と経たないうちにサクッと戦国時代の日本にタイムスリップしてくるバットマン。そこで出会った、一足先にこの時代に来ていたキャットウーマンやアルフレッドの力を借りて、バッドモービルなどいつものメカを駆使して、第六天魔王ことジョーカーと対決。ここでジョーカーの城が変形して、巨大な腕でこれまた巨大手裏剣を投げてきます。この時点で「あっ、そういうのアリな作品なのか…」と思うわけです。まあ、バットマンのメカも反則的だし、これくらいアニメならOKか、と。しかし、その想像はまだまだ甘かったのでした。

この時はそれよりも戦国時代という異色な世界観のバットマンワールドに浸っていられる余裕があります。ところが、ここから観客は度肝を抜くことに…。

ニンジャバットマン

「そろそろ茶番は終わりにしよう」

なんだかんだあって、そもそも事件の発端となったゴリラ・グロッドが黒幕だと判明。「常に二手三手先を考えるものなのだよ」なんて決め台詞を言いつつ、各地の武将の城が合体。超絶天魔王キングジョーカーが爆誕。それをまんまと奪ったジョーカーによって、バットマンたちはピンチになります。

このへんからは怒涛の展開すぎてあっという間。

城ロボットに対抗だ!ということでバットマンたちが繰り出したのは、猿集団。アリのように群がったかと思えば、次には巨大サル化。しかし、火炎攻撃で再び訪れたピンチに今度は、コウモリが集まって、巨大コウモリ化(というか巨大バットマン)。

そうか、この作品、「特撮ロボットアニメ」がやりたかったのか!と誰もがツッコむパターン。間違いなく製作陣もそれを狙っています。

これなら観客が困惑して当然です。だって『ラストサムライ』を観に来たら、『パシフィック・リム』が始まったようなものですから。普通は戦国時代で特撮ロボットアニメをやるだけでも挑戦なのに、そのチャレンジをバットマンの土台でやったという、アホとしか思えない製作陣の根性に感服です。

でも、やっぱりこれは「バットマン」というコンテンツに愛着がある人ほど怒る気がする。私はたいしたファンでもないので、冷静に面白がってますけど。

強さの基準が「コウモリ > サル > 城 > 一般戦闘員」となっていく意味不明さもありますが、作品展開が特撮ロボットアニメになっていけばいくほど、バットマンの存在感が薄くなっていくし…。というか、科学と財力に頼れなくなった世界でバットマンがどう戦うかという、面白い駆け引きが見られると思ったら、動物頼みって、これじゃあバットマン自体は弱いままじゃないか…。

帰ってこい、ニンジャバットマン

でもこの世界観は面白いと思いますし、ビジュアルも非常に凝っていますから、駄作とは切り捨てるには惜しい一作です。

なにより短い単体作品にするのはもったいなかったですね。レッドロビン、ナイトウィング、レッドフードといった味方勢の活躍の乏しさと、ポイズン・アイビー、デスストローク 、ペンギン、トゥーフェイスといった敵勢の避けられない雑魚キャラ感が可哀想。ベインにいたっては出オチだったような…。

これはアニメシリーズとして複数話で展開してほしかったなと思うところ。予算か。お金の問題なのか。資産家のバットマンなのに、作品は金がないって悲しい…。

誰かバットマンにお金をあげてください。

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↑バットマンが頑張ってチームを集めた『ジャスティス・リーグ』。戦国時代の方がまだリーダーしていた気もする…。
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