マッドタウン
Netflix映画『マッドタウン』の感想&レビューです。前半はネタバレなし、後半からネタバレありとなっています。

原題:The Bad Batch 
製作国:アメリカ 
製作年:2016年 
日本では劇場未公開:2017年にNetflixで配信 
監督:アナ・リリー・アミールポアー 

【個人的評価】
 星 4/10 ★★★★

あらすじ

砂ばかりの荒れ地に放り出された若い女アーレンは、あてもなく彷徨っていると、謎の人物に誘拐される。目を覚ますとそこは得体のしれない者たちが住むコミュニティだった。しかも、四肢を拘束され、片腕と片足を切断されてしまう。なんとかその危機から脱したが、逃げた先に待っていたのは別の怪しいコミュニティだった。

ネタバレなし感想

荒野の食人族はムッキムキ

全国の「食人族映画」好きの皆さん、そろそろ新しいメニューが欲しくなってきませんか。そんな人たちに朗報。あなたの胃袋を満たす新しい食人族映画の登場です。

それが本作『マッドタウン』

食人族映画というと最近のイーライ・ロス監督の『グリーン・インフェルノ』のようなジャングルがメインフィールドなことも多いですが、本作の舞台は荒野。しかも、本作に登場する食人族は、なんと常に筋力トレーニングを欠かせないムキムキな奴らなのです。なんだ、人間食えばマッチョになれるのか…。ライザップはもう必要ないですね。

そのマッチョ食人族に若いピチピチの女性が捕らわれてしまい、さあ、どうなる!?というのが本作のスタート。しかし、ここからが変わっていて…。美女VSマッチョ食人族の戦いが勃発…という展開にはなりません。あと、そんなにグロい描写もないです。

そもそも本作のジャンルは「ロマンチック・ブラックコメディ・ホラー・スリラー」となっています。ブラックコメディ、ホラー、スリラーはわかるとして、“ロマンチック”というのはどういうこと?という感じですけど、最後まで見ると「なるほど」となるはず。

本作の監督である“アナ・リリー・アミールポアー”はこれが長編2作目。デビュー作の『ザ・ヴァンパイア 〜残酷な牙を持つ少女〜』がその特異な内容で話題を集め、ジャンル映画ファンの期待の新星として注目されている女性監督です。

とにかく変わった映画であり、賛否両論分かれると思いますが、そういう作品なので、ね。

ちなみに“キアヌ・リーブス”も出演しています。彼がどんな役で登場するのかもお楽しみに。






↓ここからネタバレが含まれます↓





ネタバレあり感想

美女モデルも切断!

本作で主人公として主演し、コケティッシュなスタイルを劇中でもいかんなく発揮している女優は“スキ・ウォーターハウス”。彼女について全然知らないので調べたら、多くの女性誌で活躍するロンドン出身のモデルだそうで、ファッション業界寄りの人の方が認知度は高そうですね。

ただ、本作はそんな彼女に憧れるファッション好きな若い女性とかが観るタイプの映画じゃないのですけど…。なんてったって、序盤いきなり“スキ・ウォーターハウス”演じるアーレンは捕まって、片腕と片足をギコギコされますからね。モデルにも情け容赦ありません。ちなみに片腕と片足を失っても綺麗にさまになっているのは、さすがプロポーション整ったモデルならではでした。

この序盤の情け容赦なさは本作の良いところで、「ブリッジ」と呼ばれるマッチョ食人族のコミュニティの異様さも相まって掴みは抜群。

隙を見て金棒アタックを決めた後、今度はたどり着いたのは安息を意味する「コンフォート」と呼ばれるコミュニティ。ところがここもヘンテコな場所で、皆クスリ漬けの日々を過ごしているのでした。その中心にいたのは、これまた胡散臭い「ザ・ドリーム」と呼ばれる“キアヌ・リーブス”演じるグラサン男。「我々に夢を!」と叫びながら熱狂的支持を集め、ライフルを持った武装妊婦集団を引き連れているコイツもヤバい。

そんなどっちのコミュニティも関わりたくないよ!状態に置かれたアーレンは、娘探しにブリッジからやってきたマッチョポニテ男「マイアミ・マン」と、なんやかんやあって心通わせ合い、最後はキャンプファイヤーを囲みながらウサギを食べあって終わってました。

だいぶ端折りましたが、ストーリーはそんな感じ。個人的には、濃い世界観の割にはドラマは薄味でのんびりしており、やや物足りないところもありましたが、ユニークさは充分楽しめる一作だと思います。

マッドタウン

舞台となったスラブシティ

本作のユニークさを引き立てるのが舞台です。

“世紀末”感の漂う荒野ということで『マッドマックス』シリーズを連想しますが、本作の舞台はもっと現実的で、モデルになった場所があります。それがカルフォルニア州南部のメキシコとの国境付近にある「スラブシティ」です。

スラブシティは、もともとは海軍のキャンプ地で、現在は世俗と距離を置くヒッピー的な人々が自由気ままに生活するエリアとなっており、アーティスティックなモノがあちこちに点在しているそうで…。

本作はこのスラブシティがあるカルフォルニア州ニランドで撮影され、スラブシティに暮らす「Slabbers」がエキストラで多数出演しています。となると、もうこの映画の舞台はスラブシティそのままですね。

もちろんスラブシティ感をたっぷり漂わせるメインキャストも素晴らしく、“キアヌ・リーブス”はこの地域出身なんじゃないかと思うくらい馴染んでいるし、絵を描いてほしいボロボロ老人を演じた“ジム・キャリー”も役に入りすぎてもうわけわかんないです。その中でも一番良かったのはマイアミ・マンの“ジェイソン・モモア”。あのビジュアルでギャップがあるのが可愛く…。ちょっと今後公開される彼が主演する『アクアマン』への期待が高まったのでした。

それと…見ても可愛く、食べても美味しいウサギはやっぱり万能ですね…。ウサギを食用に育てて食べるように国民に促すベネズエラ政府は間違ってなかったんだなぁ…(えっ)。

©Netflix