ザ・ベビーシッター
Netflix映画『ザ・ベビーシッター』の感想&レビューです。前半はネタバレなし、後半からネタバレありとなっています。

原題:The Babysitter 
製作国:アメリカ 
製作年:2016年 
日本では劇場未公開:2017年にNetflixで配信 
監督:マックG 

【個人的評価】
 星 5/10 ★★★★★

あらすじ

臆病で甘えてばかりの少年・コールは、この年になっても美人のベビーシッターのビーに世話されていた。しかし、ある日、寝る時間を過ぎても起きていたコールは、その信頼していたビーの衝撃の素顔を目撃してしまう。もはや甘えられる相手はいない。

ネタバレなし感想

ベビーシッターのバイトはいかが?

日本の高校生の定番アルバイト先といえば、どこにでもある「コンビニ」か、ファストフードなどの「軽飲食店」ですが、ところがアメリカだと全然違います。そのアメリカでポピュラーなアルバイト先としてよく挙がるのが「ベビーシッター」です。

日本人感覚的には、“よく子どもを高校生に預けるな”と驚いてしまいますけど、これにはアメリカらしい事情があるようで…。なんでも、ある一定の年齢以下の子どもを家で一人にしてはいけないという法令がある州も存在しているらしいです。もちろんこの他にも家族観の文化的違いがあるのでしょうけど。日本では保育士・保育所不足が社会問題ですが、きっと高校生をバイトで雇うようなことにはならないだろうなぁ…。

アメリカ映画でもこういうベビーシッターはよく登場しますが、もしそのベビーシッターがとんでもない正体を隠していたら…という作品が本作『ザ・ベビーシッター』です。

監督は“マックG”。あの監督デビュー作『チャーリーズ・エンジェル』で一躍、成功をおさめ、『ターミネーター4』の監督をつとめるなどしましたが、まあ、その後の作品も含めて低迷し続け…。そんな“マックG”の最新作がNetflixオリジナルで配信となりました。

出演は、主人公となる少年役に“ジュダ・ルイス”(最近だと雨の日は会えない、晴れた日は君を想うに出演)、美人ベビーシッター役に“サマーラ・ウェイビング”(最近だとモンスタートラックに出演)、他には“ロビー・アメル”、“ハナ・メイ・リー”らが揃っています(ちなみに“ハナ・メイ・リー”、よく菊地凛子と間違われますよね。“ハナ・メイ・リー”は『ピッチ・パーフェクト』で有名になった、韓国系のアジア女優です)。

85分と短く、とても気軽に観られて、観た後は爽快感で満たされる気持ちの良い映画になっていますので、ぜひちょっとした時間があるときにどうぞ。







↓ここからネタバレが含まれます↓





ネタバレあり感想

乱交(悪魔的な意味で)

12歳のコールは注射が嫌い、クモも嫌い、車はエンジンをかけるまでしかできない、すごく気弱な男子。いじめてくる同級生にも何も言い返せません。しかも、両親はコールを放置気味。そんなコールの強い味方がベビーシッターのビーでした。いじめっ子もぶっ倒してくれるし、オタクトークにも付き合ってくるし、性格も良いし、美人だしで、こんなベビーシッターいるのかよというくらいの完璧さ。当然、べったり甘えてしまいます。

ところが、同級生の女の子に「ベビーシッターなんてあんたが寝た後は、男を連れ込んでヤってるよ」と言われてしまい、疑心か好奇心か、寝たふりをして夜にビーの様子を覗いてみると…。そうしたら確かに若者同士でパーティゲームをしており、なんと仲間らしき女とディープキスしている姿を目撃。ヤってるって、そっちか!と興奮する中、続いてさらなる衝撃が。メガネ男にビーが近づいたと思ったら、ナイフで脳天グッサー! 血、ブワッシャー! ヤ、殺ってるー! 

はい、ビーたちは悪魔崇拝集団だったのでした。コールは無垢な血を安定して手にいれるためにいいように生かされていただけだったのです。

そんなこんなで少年vs悪魔崇拝集団の対決が火蓋をきる…というストーリーでした。

雰囲気としてはグロめの『ホーム・アローン』。ツッコミどころは多々ありますが、スピード感とバイオレンスのテンポの良さがいいです。キャラも愉快で、あの血をやたら浴びることになる黒人の逆ギレ芸と、ビーとねっとりキスする女の“おっぱい気にしすぎ芸”とか、ほんとアホでいいですね。

ザ・ベビーシッター

もうベビーシッターはいらない

でも、この映画、全体的にはアホなんですけど、お話の主軸ではちゃんとコールの成長が描かれており、意外と言っては失礼ですが、しっかりしてました。

注射嫌いだけど注射されても声をあげずに耐え、クモ嫌いだけどなぜかいるタランチュラにも耐え、イジメ野郎には攻撃をし返した(効かなかったけど)。エンジンしかかけられなかった車はジャンピングアタックをぶち込めるまでに成長。それは私でもしたことないよ…。

ちょうどコールは12歳。ベビーシッターを卒業するならギリギリの年齢。悪魔崇拝集団の出現は大人への試練としてはグッドタイミング。Queenの「We Are the Champions」をバックに彼の大人への変貌が実に馬鹿々々しくも勢いよく描かれる姿は爽快です。こうやって少年は大人になっていくんです(断言)。

とまあ、単なるバカ映画とは馬鹿にできない脚本。それもそのはず、この映画の元シナリオ、なんと優れた脚本を選ぶ「ブラックリスト」に選出されていたそうです。これがあの名作シナリオと並んでいるのか…なんかスゴイ顔ぶれだ…。

私は悪魔崇拝集団に出会えなかったから大人になれてないんだなぁ。…そういうことにしよう。

©Netflix