製作国:アメリカ
製作年:2016年
日本公開日:2016年8月11日
監督:ブライアン・シンガー
【個人的評価】
星 5/10 ★★★★★
あらすじ
はるか昔からミュータントの力を利用して神として世界を支配していたアポカリプスが、数千年の眠りから覚醒した。アポカリプスは世界に新たな秩序をもたらすため、マグニートーらを従えて世界の破滅を計画。プロフェッサーXやミスティークらが率いる若きミュータントたちと対決する…。
チャールズ、ついに禿げる
今や日本の国民的漫画といっても差し支えない「ONE PIECE」は、最新巻が400万部以上を世に送り出すバケモノ級ヒット漫画です。
しかし、世界にはこれ以上売れた漫画が存在します。
それが「X-MEN」です。
その数、850万部以上。「ONE PIECE」の2倍以上売れた作品と説明すれば、日本人にも凄さが伝わるでしょう。
「X-MEN」は、ミュータントと呼ばれる突然変異によって超人的能力を持って生まれた存在の活躍を描くアメコミ。バトル漫画としてみてもいいのですが、このシリーズがここまで人気になった大きな理由は、ミュータントたちをマイノリティとして重ね合わせて見られるという点。人種、宗教、LGBTといった代表的なものに限らず、誰しも何かしらのマイノリティ的要素を抱えているものです。だからこそ本シリーズは多くの人から共感を呼んで愛されてきたといえます。
映画化もたくさんされてきました。
・『X-メン』(2000年)
・『X-MEN 2』(2003年)
・『X-MEN: ファイナル ディシジョン』(2006年)
・『ウルヴァリン: X-MEN ZERO』(2009年)
・『X-MEN: ファースト・ジェネレーション』(2011年)
・『ウルヴァリン: SAMURAI』(2013年)
・『X-MEN: フューチャー&パスト』(2014年)
そんな「X-MEN」映画の最新作が本作『X-MEN: アポカリプス』となります。
こんなにたくさん映画があると、アメコミに詳しくない人は最新作を観ても理解できないんじゃないかと敬遠したくなるでしょうが、意外とそこまで難しく考えなくても大丈夫です。
たぶん映画製作者もそういう懸念があったのか、前作『X-MEN: フューチャー&パスト』で過去に戻って歴史を変えるという展開が用意されており、ストーリーの時間軸が変わりました。つまり、最も過去の話の『X-MEN: ファースト・ジェネレーション』と、時間軸が変わった『X-MEN: フューチャー&パスト』の2作だけ観ておけばだいたいストーリーについていけるということです。この2作と本作を合わせて3部作となります。それ以外の作品は別の時間軸の話という扱いです。
最近だと『デッドプール』も「X-MEN」の系譜ですが、これは単体で楽しめるスピンオフ的位置づけなので気にしないで良し。
まあ、といっても本作は3部作の完結編ということもあって、ファン向けであることは否めないですが。
例えば、ポスターで中央の目立つ位置に陣取る“禿げた男”が、本編始まってもなかなか登場しないし、登場したらしたで「X-MEN」を知らない人は「誰?」となるでしょうし…。彼“プロフェッサーX”ことチャールズは、年老いた姿で登場する過去作ではスキンヘッドであるため、この新たな時間軸ではスキンヘッドになる過程が描かれるのが、ファン的見どころのひとつなのです。
彼がどうして禿げたのか、気になる人は観ましょう。
アポカリプス先生、間違ってます
本作は決してつまらなくはないけれど、三部作の完結作にしてはエモーショナルな盛り上がりに欠ける…それが所感でした。
その理由は「真面目」。
「X-MEN」映画は登場キャラクターがとても多いのが特徴であり、よく『アベンジャーズ』状態にあります。本作では、それぞれのキャラにちゃんと活躍シーンを用意しているのは良かったです。とくに大爆発するプロフェッサーXの屋敷から子どもたちを救出するクイックシルバーのシーンは、コミカルで楽しい。これぞコミック映画です。
ただ、本作はご丁寧なことに同時並行で描かないのです。あるキャラクターの活躍を描いたら、次の場面に転換して別のキャラクターの活躍を描く…。この繰り返し。なかにはわざわざキャラクターの見せ場のためだけに大舞台を用意しています。
本作のブライアン・シンガー監督は、「X-MEN」過去作映画の監督ということもあり、しっかり「X-MEN」に向き合って本作を製作したことはよーく伝わってきましたが、ちょっと真面目一辺倒すぎる気もします。
ゆえに上映時間144分と長くなっています。
真面目なのは監督だけではありません。
本作の悪役、アポカリプスがそうです。
他にもプロフェッサーXとマグニートーも随分あっさり仲直りしたし、ミュータントが社会に受け入れられるのも無理がある気がするし、いろいろ雑です。過去2作から続くこのテーマをメインに描けばよかったのに。
アポカリプスはこの一作で終わるキャラにせず、次の3部作でじっくり描いてほしかったかな…。
はるか昔からミュータントの力を利用して神として世界を支配していたアポカリプスが、数千年の眠りから覚醒した。アポカリプスは世界に新たな秩序をもたらすため、マグニートーらを従えて世界の破滅を計画。プロフェッサーXやミスティークらが率いる若きミュータントたちと対決する…。
チャールズ、ついに禿げる
今や日本の国民的漫画といっても差し支えない「ONE PIECE」は、最新巻が400万部以上を世に送り出すバケモノ級ヒット漫画です。
しかし、世界にはこれ以上売れた漫画が存在します。
それが「X-MEN」です。
その数、850万部以上。「ONE PIECE」の2倍以上売れた作品と説明すれば、日本人にも凄さが伝わるでしょう。
「X-MEN」は、ミュータントと呼ばれる突然変異によって超人的能力を持って生まれた存在の活躍を描くアメコミ。バトル漫画としてみてもいいのですが、このシリーズがここまで人気になった大きな理由は、ミュータントたちをマイノリティとして重ね合わせて見られるという点。人種、宗教、LGBTといった代表的なものに限らず、誰しも何かしらのマイノリティ的要素を抱えているものです。だからこそ本シリーズは多くの人から共感を呼んで愛されてきたといえます。
映画化もたくさんされてきました。
・『X-メン』(2000年)
・『X-MEN 2』(2003年)
・『X-MEN: ファイナル ディシジョン』(2006年)
・『ウルヴァリン: X-MEN ZERO』(2009年)
・『X-MEN: ファースト・ジェネレーション』(2011年)
・『ウルヴァリン: SAMURAI』(2013年)
・『X-MEN: フューチャー&パスト』(2014年)
そんな「X-MEN」映画の最新作が本作『X-MEN: アポカリプス』となります。
こんなにたくさん映画があると、アメコミに詳しくない人は最新作を観ても理解できないんじゃないかと敬遠したくなるでしょうが、意外とそこまで難しく考えなくても大丈夫です。
たぶん映画製作者もそういう懸念があったのか、前作『X-MEN: フューチャー&パスト』で過去に戻って歴史を変えるという展開が用意されており、ストーリーの時間軸が変わりました。つまり、最も過去の話の『X-MEN: ファースト・ジェネレーション』と、時間軸が変わった『X-MEN: フューチャー&パスト』の2作だけ観ておけばだいたいストーリーについていけるということです。この2作と本作を合わせて3部作となります。それ以外の作品は別の時間軸の話という扱いです。
最近だと『デッドプール』も「X-MEN」の系譜ですが、これは単体で楽しめるスピンオフ的位置づけなので気にしないで良し。
まあ、といっても本作は3部作の完結編ということもあって、ファン向けであることは否めないですが。
例えば、ポスターで中央の目立つ位置に陣取る“禿げた男”が、本編始まってもなかなか登場しないし、登場したらしたで「X-MEN」を知らない人は「誰?」となるでしょうし…。彼“プロフェッサーX”ことチャールズは、年老いた姿で登場する過去作ではスキンヘッドであるため、この新たな時間軸ではスキンヘッドになる過程が描かれるのが、ファン的見どころのひとつなのです。
彼がどうして禿げたのか、気になる人は観ましょう。
↓ここからネタバレが含まれます↓
アポカリプス先生、間違ってます
本作は決してつまらなくはないけれど、三部作の完結作にしてはエモーショナルな盛り上がりに欠ける…それが所感でした。
その理由は「真面目」。
「X-MEN」映画は登場キャラクターがとても多いのが特徴であり、よく『アベンジャーズ』状態にあります。本作では、それぞれのキャラにちゃんと活躍シーンを用意しているのは良かったです。とくに大爆発するプロフェッサーXの屋敷から子どもたちを救出するクイックシルバーのシーンは、コミカルで楽しい。これぞコミック映画です。
ただ、本作はご丁寧なことに同時並行で描かないのです。あるキャラクターの活躍を描いたら、次の場面に転換して別のキャラクターの活躍を描く…。この繰り返し。なかにはわざわざキャラクターの見せ場のためだけに大舞台を用意しています。
その最たるものが、捕まったミスティークら先輩ミュータントたちを救うため、ジーンたち若手ミュータントたちが基地に侵入する場面。ここは人気の高いウルヴァリン(ウエポンX)をだすためだけのシーンになっていました。ファンはそりゃあうれしいけど、映画のお話しには全く絡まないので必要性は…ない。
あとCIAのモイラが序盤からずっと参加していたわりに活躍がなかったですが、これもラストの記憶を返すシーンのためだけに付いていかせただけでした。
本作のブライアン・シンガー監督は、「X-MEN」過去作映画の監督ということもあり、しっかり「X-MEN」に向き合って本作を製作したことはよーく伝わってきましたが、ちょっと真面目一辺倒すぎる気もします。
ゆえに上映時間144分と長くなっています。
真面目なのは監督だけではありません。
本作の悪役、アポカリプスがそうです。
私のアポカリプスの印象は「政治家みたい」。なんか技量もあって、キャリアも誇れるのに、世間ずれしている政治家を連想しました。大物なのに、平然と失言するタイプですね。まず、律儀に仲間探しに訪ね歩くんですから。しかも、ちゃんと自分の信念を語り、説き伏せる。普通のよくある映画の悪役だったら、強引に洗脳とか脅しとかの手段をとるのに。でも4人しか集めないというウッカリさも兼ね備えていて、もうちょっと増やせよとはツッコミたくなりました。人数不足でセルフ魂移し儀式になっちゃってたのが、なんか可愛い。また、攻撃前に全人類にメッセージを送って知らせてあげるのも、真面目さが表れています。問答無用で攻撃してもいいんだよ?
この真面目さゆえにシーンの尺が伸びる伸びる。
この真面目さゆえにシーンの尺が伸びる伸びる。
本作ではプロフェッサーXとマグニートーの“イチャイチャ”があんまりなかったのが一番残念だったのですが、そんなことをこの真面目が取り柄のアポカリプスが理解しているわけもなく…。完全に空気の読めない奴でした。きっとアポカリプスははるか昔に周りの人に持ち上げられすぎて勘違いしちゃった奴なんでしょう。
他にもプロフェッサーXとマグニートーも随分あっさり仲直りしたし、ミュータントが社会に受け入れられるのも無理がある気がするし、いろいろ雑です。過去2作から続くこのテーマをメインに描けばよかったのに。
アポカリプスはこの一作で終わるキャラにせず、次の3部作でじっくり描いてほしかったかな…。