フィフス・ウェイブ
原題:The 5th Wave
製作国:アメリカ
製作年:2016年
日本公開日:2016年4月23日
監督:J・ブレイクソン

【個人的評価】
 星 3/10 ★★★
 
あらすじ

突如、空に地球外知的生命体とみられる巨大な飛行体が出現、「アザーズ」と名付けられた。この謎の「アザーズ」による攻撃で世界は滅亡の危機に陥る。混乱の中で生き残った女子高生キャシーは、離れ離れになった弟を救うため、子どもたちが集められている基地へ向かうが…。

予告の派手さは序盤だけ

最初に言っておきましょう。本作は「正体不明の敵“アザーズ”vs人類の壮絶な戦いを描く」と宣伝されていますが、とくに壮絶ではないです。地球外生命体と激闘しません。そもそも地球外生命体の姿が残念すぎるのです(詳細は記事後半のネタバレで)。また「この映画には津波のシーンがあります」と公式ウェブサイトでも注意表記されているように、ディザスター・パニック要素があるのですが、序盤だけです。というか都市に大津波が襲うシーンが本作で一番派手な見せ場です(しかもそこに主人公は一切絡まない)。では、この映画のメインは何なのかといえば、あっさりとしたサバイバルと人間ドラマなのです。

全体的に軽い感じといい、いわゆるヤングアダルト系作品であり、近い映画としては最近のものでは『ハンガーゲーム』や『メイズ・ランナー』シリーズがあります。これらの作品が好きな人はぴったりでしょう。地球外生命体とのバトルやディザスター・パニックを望む人は期待しない方がいいです。

あとは主演のクロエ・グレース・モレッツが好きな人も楽しめる…かも? クロエ・グレース・モレッツは映画全編にわたって登場しますが、如何せんドラマが浅いので魅力は引き出せていない気もします。

映画タイトルのとおり地球外生命体による5段階の攻撃(ウェーブ;波)を受けますが、1~4番目は予告映像で明かしており、「第5波とはいったい何のか?」が物語の肝となるはずの本作。「第5波とはいったい何のか?」「人類vsアザーズの最終決戦の行方は?」こうした宣伝文句の答えを知って、驚愕(落胆)したい人はぜひ見ましょう(ちなみに日本のモニター試写会では鑑賞者の97%が第5波の正体を観賞中に予想することができなかったらしいです)。

 




↓ここからネタバレが含まれます↓




第5の波は「退屈」

映画始まって約20分、第1の波(電磁パルスで電子機器がダメになる)、第2の波(地震、そして津波)、第3の波(突然変異ウイルスによる感染症)が立て続けに人類に襲うシーンが描かれます。ここはテンポが良くて映像としての派手さもあるので見やすいです。といっても、ほんととってつけたように唐突ですが。被災者の描写も薄いというか、現実味が全くないのも白けます(ただでさえ私たち日本人はつい最近大地震を経験・目撃したばかりであり、なおさらそういう印象を持つでしょう)。

そしてこれ以降は予算が尽きたのか映像は一気に地味になります。クロエ演じるキャシーが独りになってしまいサバイバルしながら基地へ向かうエピソードは、退屈の一言。結構日数が経つであろうにサバイバルな感じはしません。あげくに途中で知り合った青年とイチャイチャしだす始末で、もはやカップルがキャンプしてるだけでは…。
The 5th Wave_a
一方で軍の基地に連れてこられたキャシーの弟のエピソードも展開されますが、こちらも無味乾燥。軍の基地のほうでは、キャシーの片思い相手であったベンが中心となってチームものとして話が進みます。しかし、この即席のチームに何の魅力もないのが残念。実践投入される場面では、映像が暗すぎるし、緊迫感もなし。子どものごっこ遊びを見せられます。

大問題が「第4の波」と「第5の波」。避難所に集められた大人たちが軍から聞かされる「第4の波」。予告では“侵略”と抽象的に説明されていますが、映画のあらすじで「アザーズはすでに人間に姿を変えて社会に紛れ込んでいる」とか解説されちゃってます。もうこの時点で映画のオチが読めてしまうのですが、全くその通りで逆にびっくりです。キャシーを助けた青年エヴァンはアザーズでした、子どもたちを回収していた軍もアザーズでした…。すごく普通な展開です。このようにアザーズは人間の姿でしか登場しないのでエイリアンと戦っている感じもゼロなのです。そして、このアザーズたちがアホです。キャシーに惚れてしまったらしいエヴァン(ちょろい)。残った人間を殺すため子どもを訓練しているが、絶対に軍が戦う方が良いのに戦略を間違っている軍人たち(災害を起こせるだけの力があったのでは?)。映画タイトルの「第5の波」(子どもたちに残党の人間を狩らせる)は必要ないでしょう。それよりもアザーズに恋愛禁止を徹底させたほうがよかったですよ。
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そんなこんなで女に弱いアザーズことエヴァンを手玉にしたキャシーは軍の基地にあっさり侵入、弟を救助に向かいます。片思いだったけどもう割とどうでもよくなったベンと簡単に合流、エヴァンが謎の単独行動をして敵を食い止め、すぐに弟発見、基地爆発です。車が迎えに来て、エヴァンかと思ったら、軍でベンがリーダーをしていたチームメンバーのひとりでした(エヴァンは?)。あっさり終了です。終盤なのに見せ場なしです。「第5の波」はどうしたのか。軍に洗脳された子どもたちがキャシーの前に立ち塞がるとか、何か面白い展開考えつかなかったのか…。

極めつけは「人類vsアザーズの最終決戦の行方は?」の答えは「続く」ということ。どうやら本作は3部作計画の第1作ということだそうです。でも、アメリカでの評価も低いし中止になるかもしれませんが。

「第6の波」は要りません。