COP CAR コップ・カー
原題:Cop Car
製作国:アメリカ
製作年:2015年
日本公開日:2016年4月9日
監督:ジョン・ワッツ

【個人的評価】
 星 7/10 ★★★★★★★
 
あらすじ

荒野で遊ぶ少年2人が1台のパトカーを偶然見つけ、そのままパトカーを無邪気に乗り回し始める。しかし、車を盗まれたことに気付いた持ち主の保安官から無線が入る。さらに少年たちは、車のトランクにとんでもないものが入っていたことを知る。

超注目監督の作品は見逃せない

本作『COP CAR コップ・カー』の監督はジョン・ワッツ。本作で監督2作目となるまだまだ新人ではありますが、デビューの経歴が変わっていて有名です。彼は、映画学校時代にホラー映画『クラウン』のフェイクトレーラーをYoutubeにアップし(しかも製作総指揮としてホラーの帝王イーライ・ロスの名前を勝手にクレジットする)、話題となりました。そのうえ、それを見たイーライ・ロスがこのフェイク映画を本当に作ってしまおうと逆に提案したことで、監督デビューが実現してしまいました。まさにイーライ・ロスに認められた男といったところです。

そんなジョン・ワッツは、あの『スパイダーマン』最新作『スパイダーマン ホームカミング(原題)』(2017年7月に米公開予定)でメガホンをとることが決定しています。すごい大躍進です(最近のハリウッドは、若手監督が大作を撮ることが目立つような気がします)。

超注目監督のジョン・ワッツ2作目となる本作は、会心の出来です。正直1作目の『クラウン』を見ただけではジョン・ワッツという映画クリエイターの才能はよくわからなかったのですが(イーライ・ロスに認められるのはすごいけど一発ネタに終わることもあるし)、『COP CAR コップ・カー』を見れば一目瞭然です。なんたって映画最初のセリフが「チ○コ」ですから。なんじゃこりゃと思いつつ、目が離せない展開がずーっと続く良質なサスペンスが見られます。






↓ここからネタバレが含まれます↓




子どもサスペンスの傑作

冒頭いきなり「チ○コ」のセリフから始まる本作の物語は、終始子どものノリで進行します。田舎の何もなさそうな荒野で遊びに使えそうなものを探して時間をつぶす子どもたちは、見るからに刺激に飢えています。そこで見つけたパトカーはつまらない日常に降ってわいた刺激的なおもちゃです。「車を運転したことある? 」の質問に「あるよ。マリオカート」と答える子どもたち。子どもにしてみれば日常はまさにゲームそのもの。なので、恐ろしい事件に巻き込まれていることが判明したあとも、子どもたちにはあまり危機感がありません。

映画を見ていると、子どもらしい危なっかしい行動に私たち大人側は「おいおい、大丈夫かよ」とつい突っ込みたくなります。子どもが銃口をのぞき込むシーンは、絶対にここで子どもが死んだりしないとわかっていてもハラハラします。

一方で「F○ck」と言うのは良くないと言い出したり、自分たちを車に閉じ込めた男を銃で撃つのをためらったり、子どもなりの善悪基準も描かれています。

こうした子ども特有の何をするかわからない感じが本作のサスペンスの要であり、見ていて全く飽きません。
Cop Car_a
一番良いのは子どもに説教するキャラがいないということ。大人の登場人物はどこか抜けているのです。ケビン・ベーコン保安官は、パトカーを盗られて荒野を激走するシーンや、車のロックを頑張って開けようとするシーンなど間抜けな場面の方が目立ちます。狙撃地点を探して右往左往するトランク男に対しての子どもたちの「何しているの?ウンコだろ」のやりとりといい、アホっぽく見えてきます。最も説教する立場にいたあのオバチャンがあっけなく死ぬあたり、この映画はすがすがしくて良いです。
Cop Car_c
サングラスをかけるケビン・ベーコンはもはやギャグ。私は映画を見る前は、ケビン・ベーコンが銃を乱射しながら子供たちを追いかけ回すスリラーだと思っていましたが、どちらかといえばコメディです。あくまで子どものノリなのです(大人は真面目なんだけど)。

といっても映像づくりや演出は陳腐ではなく丁寧で、秀逸な子どもサスペンス映画でした。

ジョン・ワッツ監督初大作『スパイダーマン ホームカミング(原題)』にも期待したいところです。