キング・オブ・エジプト
原題:Gods of Egypt
製作国:アメリカ
製作年:2016年
日本公開日:2016年9月9日
監督:アレックス・プロヤス

【個人的評価】
 星 6/10 ★★★★★★
 
あらすじ

「生命の神」オシリス王の統治により繁栄を誇っていた古代エジプト。しかし、弟セトのオシリス謀殺により王座は奪われ、人々は暴虐なセトに苦しめられていた。オシリスの子で、王座と視力を奪われたホルスは、コソ泥の青年ベックと手を組み、セトを倒すべく立ち上がる。

この映画のエジプトはファンタジーです

突然ですが、皆さん学校で「エジプト文明」について世界史で習ったと思いますが、覚えていますか。

本作『キング・オブ・エジプト』は、その古代エジプトが舞台です。

しかし、世界史で学んだあのエジプトは忘れてください。なぜなら、この映画はエジプト神話を下敷きにしたファンタジー映画だからです。なのでエジプトという名の架空の王国だと思って気楽に考えましょう。

なにがファンタジーかといえば、まずビジュアル。「時代考証?そんなもん知るか」といわんばかりの奇想天外な建造物が目を引きます。なかには1015mの超高層タワー(ちなみに現代の世界一高い建築物はドバイの高層ビルで829.84m)が登場し、エレベーターっぽい仕掛けもあり、その技術は古代ではなく未来です。もはやピラミッドなんて大したことないレベルに思えてしまいます。

そんな国は神と人間が共存している世界となっています。普通に神がいるのです。普段は人の姿をしていますが(それでも人よりも身長が高い)、力を発揮すると姿を変えます。神的な力があれば、あの近未来建築物もなんとなく納得いく感じがします。全てが金色、ピカピカです。

エジプトであるにもかかわらず、登場人物のほとんどが白人であるがためにアメリカでは批判され、スタジオと監督が正式に謝罪することになったらしいですが、これだけファンタジーを全面に出していれば、ツッコむのもアホらしい気も…。
世界観の雰囲気は、『マイティ・ソー』の北欧神話の世界に近いです。それを数百倍煌びやかにしたものだと思ってもらえればいいでしょう。

なんと『マッドマックス 怒りのデスロード』とキャストや製作スタッフの多くが被っているらしく、例えばキャストだとコートニー・イートンがヒロインとして登場します。撮影も『マッドマックス 怒りのデスロード』と同じくオーストラリアの砂漠で行ったようです。


あんまり難しく考えずに見れる映画です。ファンタジー映画が大好き、ストーリーやドラマなんてどうでもいい、映像を楽しみたいという人向けでしょう。間違いなく「ファンタジーな古代エジプト」をアトラクション体験できます。





↓ここからネタバレが含まれます↓




やりたい放題だった

見終わった感想は…ゴージャスでした。ピカピカしすぎて目が痛くなってきます。神の血まで金色ですから、凄惨な暴力シーンでも残酷には見えません。

はっきりいってストーリーやドラマは飾りです。とくに主人公ベックの存在がどうでもよすぎる。ベックが物語に絡む動機も無理やりなのですが、なぜかベックは人間なのに異常に強いというご都合設定が謎です。最後にベックには神の力が宿っていた!みたいな展開が待っているのかと思いました。無難にホルスが主人公でも良かったのではないでしょうか。

知識の神トートの扱いが可愛そうでしたね。神なのにスフィンクスの問いに一発で答えられないのはどうなのでしょうか…。

あとアヌビスが意外というか良い奴で、そこは好きです。

ストーリーやドラマは残念極まりないのですが、一方でつまらないとは断言できないのが本作の魅力。

理由としては、展開がとにかく早い。長いセリフでドラマを延々続けることもなく、次々と場面が進みます。2時間の映画なのにダレません。逆にあっさりしすぎるくらいです。

2時間の劇中の間にアホみたいなゴージャスな映像をどんどん見せられるので、だんだん楽しくなってきました。変身後の神vs神のシーン、謎のトラップ、巨大蛇とのバトルと、映像だけは飽きません。そのかわり、エジプト感がしだいに薄れていくのですが…。

一番アホだなぁと思ったのは、太陽神ラーの描写です。よくわからない宇宙空間に浮かぶ飛空艇みたいな場所に暮らしているラー爺さん。ホルスとベックの二人と会話していると、いきなりこれまたよくわからないけど凄そうなモノとド派手な戦いを始めるシーンはもうエジプト感ゼロです。でも、ラー爺さんもあっさりセトに負けるんですね…。

乱戦シーンがないのは予算の都合なのかもしれませんが、もったいなかった。

このぶっ飛んだ世界観、意外と好きな人はハマる映画なんじゃないかと思います。