エンド・オブ・キングダム
原題:London Has Fallen
製作国:イギリス・アメリカ・ブルガリア
製作年:2016年
日本公開日:2016年5月28日
監督:ババク・ナジャフィ

【個人的評価】
 星 3/10 ★★
 
あらすじ

ホワイトハウス陥落事件から2年。イギリスの首相が不可解な死を遂げ、ロンドンで行われる葬儀に各国首脳が出席することになる。しかし、史上まれにみる厳戒態勢の中でも各国首脳を狙った同時多発テロが発生し、ロンドンは大混乱に包まれる。米大統領と身辺を警護するシークレットサービスは、この危機を切り抜けられるのか…。

雑さは前作以上

本作は2013年に公開された『エンド・オブ・ホワイトハウス』の続編となっています。前作は、アメリカの象徴でもあるホワイトハウスがテロリスト集団によって占拠され陥落してしまい、米大統領専属シークレットサービスの生き残りマイク・バニングが果敢に大統領を救出するというストーリーでした。前半はあまりにもあっけなくテロリストに襲撃されるホワイトハウスの脆弱っぷりが見物であり、後半のジェラルド・バトラー演じる主人公が一人でテロリスト集団をねじ倒していく強引な展開との落差にびっくりします。見ていない人のために簡単に言ってしまえば『エンド・オブ・ホワイトハウス』は、超強い主人公が悪党どもをバッサバッサとぶちのめす系のジャンル映画です。監督のアントワン・フークは『イコライザー』をこの後撮っていますので、そういうノリの映画の仲間として割り切って見ることをおすすめします。ドラマとかリアルさなどは二の次となってます。

そんな『エンド・オブ・ホワイトハウス』の続編である本作『エンド・オブ・キングダム』。ちなみに続編だからといって前作を必ず見ておく必要は全くない内容になっているので安心してください。

今度は舞台をイギリス・ロンドンに移し、ロンドンがテロリスト集団によって占拠され陥落します。物語の展開は前作と同じで、ノリもそのままなのですが、前作以上に雑です。前作より派手なシーンは増え、ストーリーはより大味になりました。

こうした映画自体の雑さは、映画製作の段階からつまずいていたことも影響しているのかもしれません。前作の監督だったアントワン・フークアは続編となる本作の脚本が気に入らず監督を辞退、フレデリック・ボンドが監督に決まるも彼もまた監督を離脱、なんとか最終的な監督に落ち着いたという経緯があります。

といってもこの雑さは本作の魅力でもあり、いわゆる「脳筋」に酔いしれる楽しみに特化したことで、好きな人にはより堪らないパワーアップをとげました。とりあえず難しく考えずに見ましょう。





↓ここからネタバレが含まれます↓




強い男が活躍するには馬鹿が必要

前作以上にあっけなくロンドンが襲撃される様は清々しいくらいですが、面白みはなし。襲撃の方法も、民間人や警察にテロリストが交じっていたという前作と全く同じ展開。この世界の先進国は何も学んでいません。

前作はアメリカのシークレットサービスの無能っぷりが露見してましたが、今回はスコットランドヤードが無能になる番です。というか万全の体制を用意していた描写として戦闘機やスナイパーか映りますが、この後のテロ騒動時に活躍はしません。ようやく物語後半で動き出したSASも、テロリストのニセSASの方が早く駆けつけるという役に立たなさ。

前作はアメリカが馬鹿でしたが、本作はイギリス以外の他の国も馬鹿な感じになってます。日本の総理も登場しますが、なぜか渋滞から抜けられないでいるうちに、橋が爆破され車ごと川に落ちていました(なんか日本が一番マヌケでした)。あと、ロシアはイギリスが嫌いだからロンドンの葬儀に参加しなかったというのが笑いどころ…ロシアが一番賢いんじゃないか。

主人公を活躍させるために周りの人間や国家さえもどんどん馬鹿にしていった結果がコレなのでしょう。

とはいってもアクションさえ楽しめればそれでいいのですが、本作はアクション超大作と呼ぶにはあまりに普通すぎるアクションシーンの連続です。前作はまだホワイトハウスという限られた空間でどう闘うのかという緊迫感がかろうじてありましたが、本作はロンドンを意味なくあちこち巡るので緊張感が持続しないのが残念。

London Has Fallen_a

最後に、この映画のラスト。いくら難しく考えず見ようと努めても、本作のオチにはツッコまざずにはいられない人が出てきて当然の展開でしょう。テロの首謀者をドローン空爆してお終いという究極の雑さ。そもそもテロの首謀者がロンドンでのテロを企てたきっかけが、アメリカのドローン空爆に民間人の親類が巻き込まれたからという理由だったにもかかわらずにです。一応、最後の空爆の際は周囲に民間人はいなさそうでしたが、それでも普通に町中を爆破してました。その後、良いこと風な演説をするモーガン・フリーマン演じる副大統領が、すごく馬鹿な人にしか見えなかったという…。

やっぱりアメリカが馬鹿な映画でした。